プロレス技には色々な技があります。
それと同時に色々な技名もありますが、天龍源一郎の得意技 ”53歳”と言う技名は、その中でも屈指のインパクトを誇ります。
何てったって単なる年齢ですからね。
知らなければ これを見て技名だと分かる人は、まず居ません。
単なる当時の天龍の年齢です。
ちなみに実際の技と、この技名は当然ながら何の関係もなく 体を捻りながら低空で浴びせる様に決める変形の垂直落下式ブレーンバスター。
晩年の天龍の必殺技ですが、体力の低下も関係していたのでしょうか? それまで天龍の代名詞と言えば、間違いなくパワーボムでしたが、徐々にパワーボムの使用頻度が減ってきて この53歳が必殺技となっていきます。
迫力満点のパワーボムに比べれば、迫力には掛ける部分は確かにありますが、53歳は中途半端な高さまで持ち上げて いきなり落とす感じなので、それが逆に危険な角度になる場合もあります。
フリーとして新日本プロレス参戦時の2004年には、53歳を武器にIWGP王座決定トーナメントを決勝まで勝ち進んでいるし、G1クライマックスも準決勝まで勝ち進んだのだから大した物です。
現在の第三世代と、当時ほぼ同年代の天龍でしたが、53歳を武器に新日本のトップ戦線に食い込んでいるのだから、やはり天龍は驚異的ですね。
53歳と言う技に関して面白いのは、完成に至るまでの進化の過程。
1999年に、佐々木健介との抗争の中で「ノーザンライトボムは貰った」宣言をして、堂々とノーザンライトボムをパクり 武藤敬司からIWGPヘビー級を奪取した時の技もノーザンライトボムでした。 実はここが53歳の始まりです。
2001年になると ノーザンライトボムが微妙に形を変えて、垂直落下式ブレーンバスターとなり、今度は三冠ヘビー級王座決定戦で武藤を垂直落下式ブレーンバスターで撃破して 三冠ヘビー級を奪取しています。
ここまで、ノーザンライトボムから垂直落下式ブレーンバスターと形を変え進化していますが、どちらにも言えるのはどちらも メジャータイトルを獲れるほどの強烈な必殺技と言う事。(しかも相手は、どちらも武藤)
2003年には最終的に、その強烈だった垂直落下式ブレーンバスターに捻りを加え、更に落とす角度を変える事で、53歳に最後の進化を遂げる事になります。
初期の頃は、捻りを加えた変形ジャックハマーの様な形だったのが、徐々に低空の垂直落下式の様な形になり、現在に至る。
これまで その進化過程でIWGPと三冠を獲って来たのだから、出来る事なら最後は53歳で、GHCヘビー級を獲って欲しかったんですけど、流石にそれは無理でしたね(笑)
ついでに言うなら武藤からGHCを獲れたんなら面白かったけど、当時の武藤は全日本所属なので、完全に現実味の無い話でしたね。
しかしながら53歳と言う技は、個人的には単なる腰砕けブレーンバスターにしか見えないんで、どうにも余り好きじゃないです。
実際の破壊力はさておき、天龍にはやっぱりパワーボム程 似合う技は
無かったと思います。