断崖式の技と言えば、旧・全日本プロレスからNOAHにかけての四天王プロレスのイメージが強いと思います。
どんどん過激化していった四天王プロレスを象徴するかのようなムーブでしたが、確かに新日本系では、ゼロでは無いにせよ 余り断崖式は見ませんからね。
しかし新日本時代の武藤敬司も意外な事に、断崖式を使用した事が有ります。
武藤の断崖式と言うのは、全くイメージが沸かないと思いますが、使用した当時はそれをみて「何で武藤が断崖式を!?」と言う感じでした。
1998年
膝の怪我から復帰したばかりの武藤が、出場したG1クライマックス。
その年はトーナメント形式で、武藤と一回戦で激突したのは、シングル初対決となる天龍源一郎でした(ムタとしては対戦済み)。
ミスター・プロレスと呼ばれる天龍との遭遇に、武藤はアドレナリンが出まくったと言い、その言葉通りに病み上がりとは思えぬ躍動を見せます。 この試合はこのG1のバストバウトとも呼ばれ、ハイライトシーンとも言える場面が、武藤が断崖式を繰り出した場面です。
コーナーポストに乗る天龍に対して、何と武藤はエプロンから天龍の首を肩の上で抱えると、まさかまさかの断崖式ダイヤモンドカッターで、天龍を場外に叩きつけたのです!!
武藤が断崖式をやるなんて有り得なかったし、しかも雪崩式です
それ以前に、武藤はダイヤモンドカッターなんて元々使って無かったのに、何故この時に限ってダイヤモンドカッターを出したのかは分からないですが、かなりのインパクトはありました。
エプロンに立つ相手に、場外からドラゴンスクリューで場外に落とす攻撃は見せた事はありますが、このダイヤモンドカッターに関しては、武藤自らもエプロンに立っている上に、しかも相手はコーナー上と言う正真正銘の断崖式。
雪崩式かつ断崖式とか、普通に考えればかなりの危険技なんですが、比較的 危険度の少ないダイヤモンドカッターと言うのが、武藤らしいですね。
それだけに今後、武藤のレパートリーに加わる事を期待していたのですが、ほぼ使う事はありませんでした。
何度かはあったんですが、何故か相手は毎回 天龍。
何で天龍用の技なの??
天龍との闘いで湧き出るアドレナリンが、武藤に普段は絶対使わない様な断崖式ダイヤモンドカッターなんて大技を出させたんでしょうか?
この翌年の武藤vs天龍のIWGP戦では、天龍がスパイダージャーマンや雪崩式フランケンシュタイナーを繰り出して 話題になった事はありますが、恐らく初対決から1~2回目の刺激的な状況が、そういう流れを作り出したのでしょうね。
そう言う面も含めると やはりプロレスは”相手あってこその物”というのも頷けます。
刺激的な相手と相まみえる事で、普段は有り得ない様な化学反応が起こる事があるのが、プロレスの面白い所でもありますもんね。