杉浦貴のオリンピック予選スラム

レスリング金メダリストと言う とんでもない実績を持つカート・アングルが、プロレス界に転向してきた時は、随分と話題になった物ですかが、アングルが使い始めた事で全世界に普及した技もあります。

アングルスラム。

相手の背後から 内腿と片腕を掴んで後方に投げるレスリングメダリストらしいスープレックスの一種で、当初はその経歴からオリンピックスラムと呼ばれていました。

 

注目選手が注目の技を使えば、違う場所で違う選手が、すぐに同じ技を使い始めるのがプロレス界。 名前まで勝手に変えて使われるのはザラです。

それは、オリンピックスラムも例外では無く 同系の技が使用されるまでに、時間はかかりませんでした。

 

NOAHの杉浦貴もキャリア2~3年の若手時代から使用しており 本家が金メダリストだから「オリンピックスラム」と言う名称なのに対して、自分の実績はオリンピック予選敗退なので「オリンピック予選スラム」と言う 自虐的と言うか・・・ウケ狙いと言うか・・・何とも変わった技名で、使用をしていました。

当初は「キャリアの浅いペーペーが世界のスーパースターの技を平然と使うなよ!」と思いましたが、この技を映像で初めて見た時は、驚きでしたね。

 

2003年の新日本プロレスでのベスト・オブ・ザ・スーパーJr.

NOAH代表として杉浦が参加したのですが、当時はキャリアの浅い若手を送り込むNOAHに不満だらけでしたが、獣神サンダー·ライガーとの公式戦では度肝を抜かれました。

 

試合終盤にはなった杉浦のオリンピック予選スラム!

本家は背中や肩の当たりから落とすのに対して、杉浦のは垂直落下式と言っても良い落とし方で、ライガーを脳天から真っ逆さまに落としたのです。

一発はどうにか返したライガーも二連発を喰っては、3カウントを聞くしかなく僅かキャリア三年の他団体の選手が、初対決にしてライガーを敗ると言う事に、大きな衝撃を受けました。

それと同時に杉浦のオリンピック予選スラムにも衝撃を受けたのですが、本家を遥かに超える急角度はもはや別の技と言っても良いレベルだったと思います。

 

勿論 急角度な事が必ずしも良い訳でも無いし、WWEとNOAHの団体のカラーの違いもあるでしょう。

しかし杉浦は、この角度にこだわり続け オリンピック予選スラムを完全に自分の物として 多くの強敵をこの技でマットに沈めた事で、今や自身の代名詞にまで昇華させました。

 

これは大した物ですね。

そしてオリンピックスラム=アングルスラムは、カート·アングルのオリジナルに間違いは無いのですが、これ以降に出てきた同型の技の

インカレスラム

国体一回戦スラム

ワールドカップスラム

などは、ほぼネタかも知れませんが、自身の実績を技名にしたオリンピックスラム予選スラムの影響か…一時かるく流行ってました。

技自体はオリジナルではありませんが、この命名の流れは杉浦貴が、流行らせたと言っても良いと思います。