中西学と言えば、アルゼンチンバックブリーカー
これは、恐らく全てのプロレスファンの共通認識でしょう。
中西も長いキャリアの中で、富士山ジャーマンやヘラクレスカッター等 多くの必殺技を開発した事はありました。
しかし最終的に、どんな技よりも一番の拘りを持っていたのは、アルゼンチンバックブリーカーでした。
思えばヤングライオン時代からアルゼンチンを必殺技にして 海外遠征を経ても尚も変わらずアルゼンチンを切り札にして 引退までアルゼンチンに対して誰よりも強い拘りを見せていました。
これって何気に凄い事ですよね。
殆どの選手は、若手の頃はこれと言った必殺技は無いか、もしくは持っていても海外から凱旋すると新たな必殺技を身につける・・・と言う事が多いですが、中西に関しては、凱旋帰国をしても他の技には目もくれませんでしたからね。
凱旋試合こそ天山広吉に、ジャーマンスープレックスでの勝利でしたが、シリーズ後半の試合では、長州力やリック・フレアーと言った大物をアルゼンチンで仕留めているので「中西の必殺技はやっぱりアルゼンチンなんだな」と納得した物です。
凱旋後も必殺技に変化が無かったのは、パッと思いつくだけで武藤敬司のムーンサルトプレスと飯塚高史のブリザードスープレッククス、金本浩二のタイガースープレックス位ですかね(他にもあると思いますが)
新しい必殺技をマスターするのは、目に見えて分かり易い成長ですが、若手の頃から一貫して同じ技に拘りを持つのも素晴らしい事だと思います。
「アルゼンチンで勝たな意味ないんじゃ!!」
中西は若い頃から 良くこう叫んでましたからね。
デビューから僅か7ヶ月で、アルゼンチンを使い始めていたと言うのも驚きですが、日本人離れした中西のパワーを良く表現出来るピッタリな技だと思います。
同時期に同じ様なコスチュームで、同世代のアルゼンチンを使う選手が、全日本にも居ましたが、その選手には失礼ながら中西とは、説得力が全然違いましたからね。
中西は、やはりナチュラルなパワーが凄いので
橋本真也、吉江豊、スコット・ノートン、ボブ・サップ、ジャイアント・バーナード、ジャイアント・シルバ
これまで様々な重量級の選手を担ぎあげて来ました。
「この重量級の選手を担げるか!?」が、中西vsスーパーヘビー級の選手の見応えの一つでしたが、毎回毎回 見事にその期待に答えてくれるのだから本当に、大した物です。
中西の場合は、担いでからのバリエーションも豊富で、アルゼンチンから前方に放り投げて片膝の上に落とすエゲツナイ技を若手の頃から使っていたし、タッグマッチでアルゼンチンを掛けた際に、相手チームのパートナーがカットに来たら アルゼンチンを掛けたまま相手を蹴り飛ばして撃退してみたり 担いでいる選手を相手に投げつけて2人まとめて 蹴散らす所なんかは、中西のハチャメチャっぷりが見れて最高でした。
2000年代に入ってからは、場外でアルゼンチンを掛けたまま場外を練り歩いてみたりパフォーマンス精神も素晴らしかったですね。
ヘラクレスカッターやマナバウアーの派生技も忘れてはいけません。
「プロレスが下手だ」「もう少し頭が良ければ」などと良く言われますが、中西はああ見えて良く考えて プロレスをやっていたと思います。
全て本能で動いていた・・・とも言い切れないですが、なんだかんだで中西学のアルゼンチンバックブリーカーが大好きでした。
1990年代後半は、中西が第三世代でトップを走っていたので、闘魂三銃士の次のエースの必殺技がアルゼンチンってのはちょっと・・・とか思っていた事も有りましたが、それでも やっぱり中西のアルゼンチンが大好きでした。