アントニオ猪木の卍固め

昭和を代表するスーパースターである燃える闘魂 アントニオ猪木の必殺技と言えば コブラツイスト、延髄斬り、チョークスリーパーなど その時代によっても色々ありますが、個人的には一番好きなのは、卍固めです。

 

卍固めを得意とする選手 または使った事のある選手は数多く居ますが、どの選手も本家・猪木の卍固めには、遠く及ばないと思います。

どこが違うのかと言われれば、他の選手は技の形はしっかりと真似てはいるんですが、猪木の絡み付くような卍固めと比べると ただ手足をフックしているだけと言う感じで、見た目からして説得力が違いますから。

猪木の柔軟な身体が、この絡み付く様な卍固めを可能にしているのかも知れませんね。

 

ひどい選手になると相手に乗っかってるだけで、全然痛そうにも見えないし右足は、相手の首にちゃんと掛けずに、ただ首の上に乗せてるだけってのも良くあります。

やはり卍固めは、猪木の様に全身を使ってガッチリと締め上げるのが効果的に見えるし、絵にもなると思います。

 

絵になると言う観点では、卍固めを掛けている最中の猪木の気迫のこもった表情も忘れてはいけません。

あの表現力が有るからこそ あの説得力も生まれるのでしょう。

 

プロレスにおける必殺技では「絵になる」と言う要素は、結構大事な事ですからね。

蝶野正洋のSTFなんかは、2人とも寝転んでいるので客席から見えにくく 苦しんでいる相手の顔もフェースロックされているので見えにくいと言う事から地味な間接技扱いをされてしまい 初期の頃は、評判が悪かったですからね。

まあSTFを駆使したG1での活躍で、そのイメージをも覆した蝶野は流石だったんですが、そう言う意味合いも含めて猪木の卍固めは、素晴らしい必殺技だと思います。

 

リング上で2人とも立っているので、遠くからも見えやすく 掛け手の気迫の表情も 受け手の苦痛の表情も見えやすいですからね。

それでいてロープへ逃げたり フックを外したりして脱出する余地が残されているのが、プロレス的に盛り上がれる要因だとも思います。

駄目と言う訳でも無いですが、完全に脱出不可能な技なら いつまで耐えれるか?以上の盛り上がりは無いですから。

 

猪木は本当に自分をカッコ良く見せる術や 客を手の平に乗せて試合を盛り上げるのが、天才的だなとつくづく思います。

 

若手時代から晩年まで、その時代を彩った必殺技は多数ありますが、猪木の闘う姿を思い浮かべた時に、真っ先に思い浮かぶのが、この卍固め。

 

燃える闘魂を体現した様な技です。