三沢光晴「あいつがその気ならこっちは場外でジャーマンやってやる」

三沢光晴の印象としては、皆さんはどんなイメージを持っているでしょうか?

リングに上がれば、日本マット界のエースとも呼べる存在だったのは、誰の目にも明らかでしたが、バックステージでのコメントに関しては、必要以上に相手を煽ったり 過激な発言をせずに、言った物勝ちのプロレス界において とにかく回りの状況を良く考えて喋る人でした。

 

そんな三沢も報復宣言とも取れる過激な発言をした事があります。

1991年に、川田利明と組んで テリーゴディ&スティーブウィリアムスの持つ世界タッグに挑戦した時の事。

試合中盤に、三沢とゴディが客席になだれ込み 場外乱闘になった際に、場外マットの無い場所で、何とゴディが必殺のパワーボムを仕掛けたのです!!

 

幾ら受け身の天才の三沢とは言え、ゴディのパワーボムを体育館の固い床の上で喰らってしまっては、どうしようもなく 完全な失神状態になり先頭不能に陥ってしまいます。

 

その間ローンバトルを強いられた川田は、どうにか1人で殺人魚雷コンビを相手にするのですが、当時の川田では個々の力でも殺人魚雷が上回っていたので、2vs1では、どう見ても勝ち目は有りませんでした。

でも「三沢が意識を取り戻し 必ずリングに戻って来てくれる!」そう信じて この試合を観ていた記憶が有ります。

しかし思いの他 ダメージは大きく三沢の意識が戻り、リングに戻ってくる事は最後までありませんでした。

 

試合の方は、川田も驚異的な粘りをみせた物の 最後はウィリアムスのラリアットに撃沈

ベルト奪取はならず、三沢が意識を取り戻したのは試合後のバックステージでの事。

 

ゴディの余りにも非常な攻撃に、プロレスの範疇を越えてると あの三沢が怒りを露にします。

 

「あいつがその気ならこっちは場外でジャーマンやってやる」

 

コメント一つをとっても きちんと言葉を選んで喋る三沢にしては、珍しい過激な報復宣言です。

三沢は、プロレスの範疇を越えてると怒っていましたが、かつて ジャイアント馬場は「プロレスにやりすぎなんて無い。ガンガンやりゃあ良いんだよ」と天龍同盟末期に発言していた事があります。

「馬場が全て」の全日本において 馬場の意思とは全く逆の事を口走る程に、三沢の怒りは頂点に達していたのでしょう。

 

こうなってくると翌シリーズからは、三沢とゴディの闘いに注目が集まってきます。

場外での闘いになると「ジャーマンが出るか!?」と皆の注目は、当然そこに集まりますが三沢が場外で狙ったのは、タイガードライバー。

 

あの時の宣言と違うじゃん!と思いましたが、良く考えてみたら場外でジャーマンなんかやったら自分にもダメージがあるし、ゴディがパワーボムなら同じボム系であるタイガードライバーで、仕返しした方が良いですからね。

三沢も後になってから「ジャーマンじゃなくてタイガードライバーにしときゃ良かったな」とか思ったんでしょうね。

 

しかし当然ゴディも必死に抵抗して決めさせず 三沢も何度か狙うも結局最後までタイガードライバーを成功させる事は出来ないまま、不発に終わってしまいます。

この時は、温厚な三沢が怒りを露にする程 激しくやりあっていましたが、決して本心からいがみ合ってる訳ではなく ゴディが若くして亡くなった時は、三沢は追悼の意を表明しているし ゴディの息子を面倒をNOAHでみていた事もあります。 

 

やはり そこはプロレスラー

リング上では激しくやりあっていても 闘った者にしか分からない友情みたいな物は、芽生えていたのだと思います。

激し過ぎる攻防も お互いの信頼関係があってこその物と言う事です。