デビュー時から その日本人場馴れした身体能力と骨格で、常に将来を期待され続けてきたのが、中西学でした。
海外からの凱旋シリーズで、いきなり長州力やリック・フレアーら日米の大物を連破して 闘魂三銃士の跡を継ぐのは、中西だと言われる中 その後の活躍が本人の持つポテンシャルに追い付かず、勿体ない事に燻り始めてしまいます。
しかし1999年のG1クライマックスでは、時のIWGP王者·武藤敬司を撃破し 第三世代初のG1覇者となります。
これで、いよいよ中西時代の到来か!?と思わせたのも束の間 G1タッグリーグでは決勝まで進むも武藤に敗れ、IWGP王座戦でも武藤にリベンジを許してしまい結局 浮上のチャンスを逃してしまう事となります。
ここからの中西は、長期に渡り暗いトンネルを進んでしまうので、ヤキモキしていたファンも多かったでしょうね。
2000年以降の実績では、IWGPタッグは獲れてもG1準優勝 ニュージャパンカップ準優勝と今一つ突き抜ける事が出来ず それまで後ろを走っていた筈の永田裕志や天山広吉 小島聡 藤田和之 安田忠夫らにもIWGPで先を越されてしまい いつしか凱旋直後のギラギラした中西は鳴りを潜め、なんだか落ち着いてしまいます。
「中西の素材は最高なんだが・・・」
こんな言葉を何度聞いた事か…
時は流れ2009年
時代は移り変わり 棚橋弘至や中邑真輔らの新世代が、新日本の中心となって活躍しています。
当時 最強の外敵王者として新日本で無双していた武藤から若きエースの棚橋が、ベルトを奪還して中邑やカート·アングルらにも防衛した事で、誰もが棚橋の長期政権を予感していました。
その状況下で突如組まれた 中西のIWGP挑戦。
中西政権を期待していた人は多いでしょうが、それを予想していた人は少ないでしょう。
しかし今まで、ことごとく期待を裏切り続けてきた男が、今度は良い意味で期待を裏切りました。
棚橋をリフトアップすると トップロープに投げつけて喉を打ち付けさせると跳ね返って来た所に、ジャーマンスープレックス!
今まで出したことの無い技
特大☆中西ジャーマンが、炸裂して棚橋から見事な3カウントを奪ったのです!!
これには、場内大喜び
皆が中西の勝利を祝福しました。
中西政権が始まると言われたG1制覇から、実に10年の月日が流れましたが、ようやく中西の素質が実績となって花開いた瞬間でした。
それにしても まさかのベルト初戴冠をまさかの新技で果たしたのは、インパクト充分だったと思います。
特大☆中西ジャーマンは、その後の中西の切り札的な技に、なるのかと思っていましたが 棚橋とのリマッチでは未遂に終わり、中西のキャリアの中で、たった一度の使用の超レアな技となってしまいました。
結局棚橋とのリマッチに敗れ 一度の防衛も果たす事無くIWGPを棚橋に返す形となってしまいましたが、それがまた中西らしいっちゃあ中西らしいんですけどね。
出来る事なら 引退するまでの間に一度くらいは、特大☆中西ジャーマンを見せて貰いたかったです。