1990年代の金本浩二のイメージで、思い浮かぶ必殺技と言えば、タイガースープレックスやムーンサルトプレスだったでしょう。
しかし膝の負傷もあり 膝の負担を減らす為に、それらの技の使用を少しずつ控える様になっていき2000年代初頭に、新たな必殺技として着目したのがアンクルホールドでした。
パンクラスのビデオを見て バス·ルッテンが使用していたアンクルホールドを見て「これだ!」と思ったのが、きっかけだそうです。
使い始めた当初は、どうしても90年代のイメージが強かったので、アンクルホールドでのフィニッシュは、やや物足りない感がありましたが、使い続けるうちに金本言えばアンクルホールド!と言う迄に、定着しましたね。
中でも印象深かったのが、2002年のIWGPJr.ヘビー級選手権のバス·ルッテン戦です。
パンクラスから移籍してきたばかりのルッテンは、いきなり中西学を撃破と言う鮮烈な新日本デビューを果たし パンクラスでもトップだった実力を見せつけます。
その後、永田の持つIWGPヘビー級に挑戦して惜敗するも今度は、何故か階級を下げて金本浩二のIWGPJr.ヘビー級に挑戦表明。
正直これは、新日本Jr.にとって かなり厳しいんじゃないかなとは思いました。
中西に勝った選手が相手では、幾らなんでもJr.ヘビー級で勝てる選手は居ないんじゃないか?
ベルトを獲られたら誰が取り返すんだ?
新日本ファンとしては、外から来たルッテンが強豪ゆえの不安がありましたが、Jr.ヘビー級の王座がルッテンに渡るのも考えにくかったので、金本が当時たまにフィニッシュに使用していたウラカン·ラナで、どうにか辛勝するのではないかと予想していました。
いざ試合が始まると 予想通りルッテンの打撃や間接技に苦しめられるも 最後は、金本がまさかのアンクルホールドで、完璧なギブアップ勝ち。
これには、金本が勝ったと言う事も 更にはアンクルホールドで勝ったと言う事も含めて二重で衝撃でしたね。
金本がインスパイアを受けたルッテン本人に、アンクルホールドで勝った事自体が、一つのドラマです。
ルッテンに防衛した事で、金本のアンクルホールドは一気に必殺技として認知され 日本有数の使い手となっていったと思います。
後に金本は「アンクルホールドに出会えて良かった」と語っていますが、これって何気に大事ですよね。
レスラー生活の中で、自分にとって「これだ!」と思える技に出会えるかどうかで、今後のレスラーとしての評価や寿命にも関わってくるので、技のチョイスはレスラーにとって かなり重要な部分だと思います。
その点 金本や武藤あたりは、膝が故障して以前のコンディションを保てなくなっても さして影響の無い技にシフトしたのは流石……と言うべきですね。