今や新日本のカリスマにまで登り詰めた内藤哲也ですが、デビュー前から棚橋弘至に憧れていたのは、有名な話。
しかしデビューしてからは、キャリアや実績の差はあれど 同じレスラーとして棚橋をライバルとして見る様になっていきます。
2006年7月
この時点で、内藤はデビューしたてのヤングライオンですが、そんな内藤の素質を誰よりも買っており 可愛がっていたのも棚橋でした。
「早く俺の所まで来いよ」
棚橋が内藤にかけた言葉です。
内藤の事を評価しているからこその言葉でしょう。
そして絶対王者時代を経て2015年に、棚橋は2度目のG1優勝を果たします。
この栄冠を最後に、棚橋のコンディションの悪化に伴い 結果を残せない日々が続いていきます。
2016年の東京ドームでは、オカダ・カズチカに敗れ世代交代を印象付けてしまいますが、棚橋は常に再浮上を狙い続けます。
しかし新日本の下の世代の突き上げは、凄まじく棚橋が踏み台にされる事も珍しい事では、なくなってしまいます。
ACEと呼ばれた男が、欠場と復帰を繰り返し 思う様な結果を出せないジレンマは、相当な物だったと思います。
そして再起を誓った2017年東京ドーム
棚橋の前に立つのは、かつて11年前に「早く俺の所まで来いよ」とエールを送った内藤哲也。
下降線を辿りつつあった棚橋に比べて 内藤はロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを立ち上げカリスマと呼ばれるまでに大きく成長
内藤の持つインターコンチネンタルに、棚橋が挑戦という形で、これまでとは立場が正反対になった形での対戦。
スイング式リバースデスティーノ
正調デスティーノ
内藤の猛攻の前に、棚橋はドームの天井を仰ぎます。
前年のドームで、オカダに敗れ
そして この年は内藤にも敗れ
棚橋ファンとしては、完全にトドメを刺された様なショッキングな現実を突きつけられます。
いくら棚橋でも時の流れには、抗えないのか?
このまま 棚橋は落ちていくのか?
大の字に倒れる棚橋に、内藤は拳を突きつけ
そして一礼します。
制御不能男のこの行動には、違和感もありましたが、棚橋への今までの感謝など様々な思いがあったのかも知れません。
しかし棚橋時代の終焉を感じさせる寂しい場面でもありました。
試合後に内藤は
「これでひとつの時代が完全に終わったのかな。寂しいけどね。棚橋、早く俺のところまで戻って来いよ」
とバックステージで言いましたが、これは明らかに11年前の棚橋の「早く俺の所まで来いよ」の返事ですね。
一見すると もう乗り越えた男に対する皮肉とも取れますが、個人的には内藤のこの言葉は、「そこからもう一度這い上がってこい」と言う棚橋に対するエールだったと思っています。
発言の真意は、内藤本人にしか分からないし
棚橋も内藤も好きな選手なので、単なる願望かもしれませんが、あの言葉があったからこそ
2018年に、飯伏幸太を倒してのG1制覇
2019年に、ケニー・オメガを倒してのIWGP奪取
棚橋の低迷期に、新日本の主力にのしあがってきた この二人を倒して栄冠を勝ち取れたのは、内藤の言葉に奮起したからかも知れません。
まぁ全く関係ないかも知れないですけどね。