1990年5月14日
三沢光晴が、虎の仮面を脱ぎ捨てて 再び三沢光晴となった日です。
1980年代は、ジャンボ鶴田と天龍源一郎の2人が、中心となって全日本プロレスを引っ張っていた時代で、この2人の戦いが全日本名物として 一つのブランドを築き人気を博していました。
しかし事件は、起こります。
新興団体SWSが、天龍を初めとするグレート・カブキ、谷津嘉明ら 全日本の選手を大量に、引き抜いたのです。
選手数の大幅減に加え 何より二大エースの一角 天龍が抜けた事は、大打撃なんて物ではありません。
全日本の存続の危機すら囁かれました。
これに危機感を覚えて 行動に起こしたのが、2代目タイガーマスクこと三沢光晴
試合中にパートナーの川田利明に、マスクの紐を解かせると自ら虎のマスクを脱ぎ捨てて投げ捨てたのです。
マスクを被ったままでは、団体のトップになる事は出来ないと考え 大胆な行動に移す事で、これからは自分が新世代の旗手として団体を引っ張る意志がある事を満天下に示して見せたのです。
これからは、三沢光晴として闘うと決意した あの場面は、今でもプロレス界に残る名シーンですね。
劇画のヒーロー タイガーマスクとはまた違う
等身大のヒーロー誕生の瞬間でした。
マスクを脱ぎ捨てた三沢の活躍は、ご存じの通り
最初の頃は「三沢なんてまだまだ顔じゃない」と言われていた時期も有りましたが、身体中ボロボロになりながらも鶴田やスタン・ハンセン、テリー・ゴディと言った強大な壁を乗り越えて行く事で、誰もが認める全日本プロレスのトップ
ひいては、日本プロレス界のトップになっていきます。
あの時点では、川田も田上も小橋も
まだまだ力不足の時代。
メンツ的に、三沢が立ち上がるしか無かったのかも知れませんが、もしあの時 三沢がマスクを脱ぐ決断をしなければ、日本マットの歴史は大きく変わっていたかも知れません。