藤波辰爾のジャーマンスープレックス

1998年の4月4日 東京ドーム大会

アントニオ猪木引退の日でもありましたが、同時に行われたIWGP戦は、王者・佐々木健介vs藤波辰爾。

 

藤波 最後のIWGP挑戦となった試合ですが、当時の健介は気力体力ともに充実しており 既に一歩下がった感のあった藤波では、到底勝ち目がないと思われていました。

しかし この日は師匠猪木の引退の日

誰よりも猪木を尊敬していた藤波だからこそ この日ばかりは、師匠の引退に花を添える為にも何としても勝ちたかったのかも知れません。

 

だが現実は、そう甘くなく やはり若さとパワーで勝る健介が、藤波を追い込みます。

健介とて今まで一度も藤波に、勝った事がないので、この大舞台でそろそろ初白星を挙げたい所でしょう。

 

健介の気迫は凄まじく 更に藤波を追い込みます。

だが受けに回っている時こそ 実は藤波の真骨頂。

相手の技を受けながらも徐々に、反撃を開始。

 

最後は意表をついたジャーマンスープレックスで

奇跡の逆転勝利!

 

衝撃でした。

 

確かに、藤波は以前からジャーマンスープレックスを得意としていましたが、この数年間は腰の状態の事もあり 使用される事は、ほぼ無くなっていた中でのジャーマン解禁。

お世辞にも美しいジャーマンとは言えなかったし、どちらかと言えば不格好なジャーマンでした。

 

それでも気迫で放ったジャーマンでした。

例え腰が砕けても これで決めると言う藤波の執念が、これを打たせたのでしょう。

 

やはりプロレスと言うのは、色んな魅せ方があり 綺麗な技を見せて凄いと思わせる事も出来るし 気迫や生き様だけで、感動を呼ぶ事も出来ます。

 

だからプロレスは、面白いし 奥が深いんですね。

 

まぁ敗れた健介としては、ここまで橋本から王座を奪い蝶野、武藤と闘魂三銃士を三タテしてきたのに、最後に旧世代の藤波に敗れたのは、さぞ無念だったでしょう。

一方の新王者・藤波は、リングを去り行く偉大な師匠をIWGP王者として見送る事が出来たし「俺達の時代」が、まだまだ健在だと言う事を見せつける事も出来ました。

 

結局この日が、藤波辰爾の現役最後のジャーマンスープレックスとなった訳ですが、全盛期の様なスマートさも華麗さも無かったのは事実。

ですが、全盛期のどの時よりも魂の籠ったジャーマンスープレックスでした。