プロレスでは、拳による攻撃は認められていません。
一瞬ならばと繰り出す選手も居ますが、反則は反則です。
それは、ガチ志向のUWFとて例外では無く 一大ブームを巻き起こした1990年代のUWFも当然パンチは、禁止されていました。
そんな中ルールの盲点を突いてパンチに近い攻撃
拳を握らずに、手首に近い固い部分で打つ打撃
掌底です。
元々 日本武術の技術で、若手時代に骨法修業に出向いた獣神サンダー・ライガーと船木誠勝が、習得して来てプロレス界に広めていきました。
最初に掌底を観たのは、ライガーのでしたが、ライガーは真正面から相撲の突っ張りみたいな形で、同じ軌道で連打していたので、お世辞にも余りカッコ良いとは思えませんでした。
けど船木の掌底を観た時には、衝撃でした。
1990年 当時UWFのトップグループだった山崎一夫、高田延彦、藤原喜明を若干21歳の船木が、掌底の連打を駆使して連続KO
彼らを連破する快進撃を見せたのです。
ライガーのそれとは違い 船木の掌底はボクシングのパンチの様に、あらゆる角度から打ち込み 顔面、ボディと相手のガードを掻い潜って あらゆる場所に的確にダメージを与えていきます。
船木はボクシング特訓していた事もあり コンビネーションを駆使するのは納得なのですが、トップスピードで こういう打ち方をすると滅茶苦茶カッコ良く見えて あっという間に、UWFと言えば船木一拓になってしまいました。
この船木の快進撃以降UWFでは、掌底を使う選手が急増し 掌底、キック、関節技、スープレックスと言うのが、船木効果でUWFのスタンダードになったのだと記憶しています。
総合格闘後の台頭以降は、オープンフィンガーグローブを着用しての顔面パンチが認められているので、掌底の実用性も減っていく事になるのですが、1990年代の大流行技と言っても過言ではありません。
そして そのブームを作ったのは間違いなく船木でした。
当時の船木は、確実に人を引き付ける
”強さ”と”カッコ良さ”を備えていましたね。