田上明の必殺技と言えば、喉輪落としですが、それをエプロンサイドから場外に向かって落とす派生技の断崖式喉輪落とし。
固い場外フロアに向かって あの落差で叩きつけるのだから これは殺人技と言っても差し支えありません。
叩きつけられた瞬間は、一瞬呼吸も出来なくなるだろうし 内臓に来るダメージも相当な物だと思います。
キツイ打撃に、脳天から落とす垂直落下式の どんどん過激化していく四天王プロレスの中で、それらの技をあまり使わない田上が対抗すべく 編み出したのが、この断崖式喉輪落としでした。
プロレスに断崖式と言う概念を持ち込んだのは、この時の田上が初となります。
これ以降 四天王を中心に、様々な断崖式の技が開発される事になっていくのですが、この技の開発はプロレスを危険な方向に走らせた一つの原因だったと思います。
他の四天王と違って 脳天から垂直に落とす技の無い田上が、彼らに対抗する為の手段だったのかも知れませんが、断崖式はダメージが余りにも大き過ぎて 食らった相手が吐血する事も珍しくありませんでした。
現に、この技が決まった時の田上の勝率は高く
それまで三沢に勝った事の無かった川田が、三沢から初フォールを奪った時も田上の断崖式喉輪落としのアシストを受けての物でした。
流石に、その危険度と破壊力は田上も良く分かっており 頻繁に出す事は無くタイトル戦クラスの試合でしか披露される事はありませんでしたが、他の選手によって もっと危険な断崖式も後に登場する事になります。
断崖式タイガースープレックス
断崖式ブレーンバスター
雪崩式断崖式エクスプロイダー
雪崩式断崖式フランケンシュタイナー
ここいらが、相当危険な断崖式ですが、断崖式で更に雪崩式とか相手が死んでもおかしくない危険技です。
もちろん掛ける方も 信頼できる相手にしか繰り出さないでしょうが、この当時の断崖式の開発ラッシュは、見ていてヒヤヒヤしてました。
ここ数年は、断崖式の開発はおろか 既存の断崖式を見る事も少なくなりましたが、これは良い傾向と言えるでしょう。
田上は温厚で、全く害の無い 人畜無害な人物ですが、この断崖式の開発は、田上の唯一の罪と言えるかも知れません。