蝶野正洋が試合を組み立てる上で、フィニッシュとしても繋ぎ技としても 最も有効的に使っていたのが、ケンカキック。
そのケンカキックもシャニングケンカキックの登場により、徐々にその立場を奪われていくのですが、もう一つケンカキックのバリエーションの中で、消えていった物もあります。
2005年の東京ドームで行われる当時抗争中だった長州力、天山広吉との三つ巴戦に向けて 2004年末に新たに考案したのが、スライディングケンカキック。
四つん這い状態などの 低い姿勢の相手にスライディングしながら打っていくケンカキックなのですが、これが結構有効な技だったと思います。
シャイニングケンカキックでも相手が片膝立ちになっている事が、技を決める為の最低条件なので、それよりも低い姿勢の相手にも打つ事が出来る、スライディングケンカキックは、低い姿勢の相手には打てないケンカキックの欠点を克服したとも言えます。
元WAMF世界スーパーウェルター級王者、伊藤隆の元でキックボクシングの練習を、積んでいた際に開発され マスコミを呼んで行った公開練習では、ミットを付けた伊藤をフッ飛ばして その威力を示しています。
蝶野のキックボクシング特訓ってのは、かなり意外ですが、キックボクシングの指導を受けてスライディングの練習と言うのが何とも……(笑)
マスコミ向けの公開練習だとは思いますが、こう言う風景は最近のプロレスでは、余り見られませんよね。
プロレスには関係無いのに、付き合ってくれる格闘家には感謝だし、やっぱり決戦前の特訓と言うのは盛り上がるので、こう言うのは大好きです。
今のレスラーも マスコミ向けのパフォーマンスだけでも良いからもっと格闘家と技術交流したり、山籠りしたりすれば良いのに…とは思います。
三つ巴戦では、初戦の長州をこの技で破り
新技の破壊力を、東京ドームと言う最高の舞台でアピールする事に成功しているのですが、どういう訳だか試用品度はどんどん減っていき、最終的には全く使われなくなってしまいました。
隠し技の多い蝶野なので、そのうち披露される事が有るかもしれないと期待していたのですが、結局最後まで使用される事はありませんでしたね。
立っている相手にケンカキック
片膝着いた所をシャイニングケンカキック
うつ伏せに倒れた所をスライディングケンカキック
このケンカキック三段活用を一度は見てみたかったのですが……