長州力の力ラリアット

1990年代は、とにかくラリアッターが多く ラリアットを必殺技としている選手が多くいた時代でした。

その中でも一撃の破壊力で言えば本家スタン・ハンセンが断トツなのは、異論のある人は少ないと思いますが、腕を回しながら全速力でロープに走り スピードに乗って炸裂させる長州力の力ラリアットが、大好きでした。

 

一撃ではハンセンや小橋建太には、及ばないかも知れませんが全盛期のスピード感たっぷりの助走から決める力ラリアットは、爽快感もたっぷりでしたね。

明らかな格下でなければ 一発では無く連打で決める事も多く 必殺技の乱打は正直どうなの?とも思った事もありましたが、長州の場合はそれすらも許容されるレベルまで力ラリアット連打を定着させていたと思います。

力ラリアットで絶対に倒れたくない橋本真也との意地の張り合いは、もはや両者の対決の定番でも有りましたからね。

 

1994年からは、自身のトレードマークでもある長髪を切ってしまい残念でしたが、それまでの長州の長髪をなびかせながら トップスピードで力ラリアットを打つ姿が、たまらなくカッコ良かった物です。

 

力ラリアットは、革命戦士の歴史その物ですが、個人的なベスト・オブ・力ラリアットは、1995年10・9の伝説の対抗戦のvs安生洋二戦ですね。

UWFは受けを排除したスタイルなので、ラリアットは当たらないと思われていましたが、レスリングのエリートでもある長州ならば 安生と闘っても問題ないだろうとは思っていました。

しかし良い意味で、予想を裏切られる結果となりましたね。

 

レスリング技術で安生を圧倒するばかりか、蹴りにも冷静に対処する長州。

この時点で、予想を裏切られたと言うか長州は強すぎました。

 

確かに最初に狙った力ラリアットこそ それを察知した安生は転がる事で、タイミングをズラして不発に終わらせましたが、それならばと試合終盤には、長州は安生に歩いていくと至近距離からダッシュして 少ない助走で、力ラリアットをクリーンヒットさせたのです。

この当たりが、素晴らしかった。

マトモに喉元に決まり 喰らった安生は物の見事に綺麗にナギ倒され UWFとのイデオロギー抗争の事もあり この技がここまできれいに決まった事で、スカッとしたファンも多かった事でしょう。

 

普段のUWFの試合では有り得ない技で、有り得ない位に綺麗に倒された安生は完全にダウン。

この時点で、勝負はアリでしたが、駄目押しのサソリ固めでギブアップの言葉を吐かせると長州の完全勝利となりました。

 

メインの武藤敬司と同様に、長州もまたUWFを完全に打ち砕いたのです。

最も高田延彦と安生では、敗戦の意味も大きく違いますが、それでも新日本とUインターの抗争の中心にいた安生を粉砕した事は、全面戦争と言う観点から見れば やはり大きかったと言えます。

 

長州力の長い現役生活では、様々な名場面が生まれましたが、当時の時代背景や対抗戦のシチュエーションを考えると やはりあの時の力ラリアットが、最高でした。

同時にあの時の長州力は、最高にカッコ良かったです。