丸藤正道の虎王

二段蹴りの要領で、相手の顔面や顎を下から突き上げる膝蹴り。

丸藤正道の得意技で、2012年に新日本プロレスのG1クライマックスに参戦した頃から試運転として使用を初め、その後 徐々に丸藤のレパートリーに加わり今では、繋ぎ技からフィニッシュまで幅広く使われる技になっています。

膝蹴り系の技は、現在のプロレス界に数多く存在するが、この虎王と同じ形の膝蹴りも同様に、多数存在します。

ですが、この当時はまだまだ今までの膝蹴りとは少し違う 華麗さと力強さと独創性を兼ね備えた丸藤らしいムーヴで、先駆者は居たかも知れませんが、知名度的にこの形の第一人者と言えるでしょう。

この辺りは、シャイニングウィザードを編み出して 膝蹴りを華麗な技に昇華させた武藤敬司とダブると言うか、天才ならではの共通点と言う所でしょうか。

 

丸藤曰く NOAH内で杉浦貴や秋山準、KENTAなど、膝蹴りを使う選手が多いので、自分にも何かないかと考えた末に、虎王の開発に至ったそうです。

同じNOAHに、それだけ膝蹴りの使い手が居るのなら、なにも自分まで膝蹴りを使う事ないんじゃないの?とは当時は思ったんですが…

結果的にNOAHのトップ選手は、膝蹴りばっかりになっちゃいましたが、それらの選手は殆どがNOAHから出ていったので、今となってはあのタイミングで虎王を使い出して良かったのかも知れません。

 

Jr.時代から丸藤は、トラースキックならば頻繁に使用していましたが、丸藤が最初に虎王を使い出した時は、丸藤に打撃技と言うイメージは、ピンと来ませんでした。

しかし そんなイメージを払拭させるのに、時間がかからなかったのは、やはり使い所や説得力の持たせ方が、抜群だったんでしょう。

 

まず他の膝蹴りを多用する選手とは、明らかに違う膝蹴りでしたからね。

逆水平チョップとトラースキックと虎王の多種多様のコンボからなる 打撃の組み合わせは、見ていて爽快感すらあるし、非常に素晴らしい流れでした。

 

更に虎王から様々な派生技も編み出し、丸藤の向上心とアイディアは、とどまる所を知らないな…と

虎王は丸藤の凄さを痛感させられた技でもありました。