誰もが知っているプロレス技の一つに、ジャイアントスイングを挙げる人は多いでしょう。
実際にプロレスごっこでやった事のある人や、バラエティー番組で見た事のある人も多く、プロレスを知らない人にもわりと知られている技です。
しかし その知名度に反比例するかの様に、技の使い手は意外と少なく昭和の後期になる頃には、女子はともかくとして男子プロレスでは、ほぼ見られない技になってしまっていました。
そんなジャイアントスイングにスポットを当てたのが、馳浩。
それまでの黒一色のタイツから一転して黄色の派手なタイツとシューズ、入場時にはTシャツを投げるパフォーマンスをする等、明るく華やかにイメチェンしたのが、1990年の事。
その頃から客席をより意識する様になったのか、パフォーマンス性の高いジャイアントスイングを使いだしたのです。
ジャイアントスイングは、確かにパフォーマンス性の強い技で、これで3カウントを奪えるという事はまず無いと思いますが、馳の場合は並みの選手よりも多く回すので、客席からも回転に合わせてカウントするのが、馳の試合でのお決まりになっていました。
最高で60回転位した事が有る筈ですが、これはちょっと自分が回る(もしくは回される)のを想像しただけで、具合が悪くなりそうですね・・・
これは馳が、対戦相手だけではなくプロレスラーとして 客席とも闘っている証しでもあり、観客を掌に乗せる馳流の技術が、垣間見える瞬間でもあります。
ジャイアントスイングにいく際に、相手の両足を抱えながら場内を見渡して 客席を煽りながら、カウントを数えさせる方向に持って行くのは、流石だと思います。 実際にジャイントスイングが観れないと物足りなさを感じるし、この技が出ると地方会場でも盛り上がりますからね。
見た目だけの技ではなく 相手の平衡感覚を奪うという確かな効果もありますが、ついでに自分の目も回って 技を終えた後に自分もフラフラしてしまうのはお約束。
タッグマッチの場合だと そこを狙われてやられちゃうのも御愛嬌笑)
自分で仕掛けた技で、結局やられちゃうのも含めてプロレスらしいと言うか、空中殺法の様な 有る意味「捨て身の技」とも言えますね。
こんな自分の目まで回る技を何故やるのか?と聞かれたら、それは馳がプロレスラーだから・・・という事に尽きるでしょう。
お客さんが喜ぶから、例え結果的に試合が不利になろうとも、自分の事を顧みずジャイアントスイングを仕掛ける・・・
そこには確かな馳のプロ根性が有るのだと思います。