武藤敬司の腕ひしぎ逆十字固め

武藤敬司の必殺技と言えば、真っ先に思い浮かぶのはムーンサルトプレスでしょうが、膝に負担のかかるムーンサルトプレスは乱発出来ない事もあり、その結果 時代ごとに武藤のメインとなっていた必殺技が違ってたりします。

例えば~95年まではムーンサルト

~2001年までは足4の字固め

そして そこからは、シャイニングウィザード・・・と勿論それだけで闘っていた訳ではなく、状況に応じて他の技も使用していましたが、その中に置いても比較的フィニッシュになる事が多かった技と言えば、腕ひしぎ逆十字固めではないでしょうか?

 

赤パンツ時代の武藤に、腕ひしぎ逆十字固めのイメージはそれ程ないと思いますが、実は小さい会場だったり格下の相手と試合をしたりする時には、腕ひしぎ逆十字固めが何度かフィニッシュになったのは記憶にあります。

なので1995年に武藤と高田延彦の試合が決定した際には、武藤の応援はしていましたが流石にムーンサルトなんか当たらないだろうから、武藤が勝つのなら足4の字固めか、腕ひしぎ逆十字固めだろうと個人的には予想していました。

それだけ当時の武藤が、ギブアップ勝ちをする技と言ったらこの2つでした。

今 思えば高田に、足4の字固めで勝つと予想するってのも大概だと思いますけどね・・・(決して後出しジャンケンではありません)

 

ちなみに、武藤の腕ひしぎ逆十字固めで最も印象が強い時期と言えば、1999年のIWGP王者時代でしょうか?

この時期には藤田和之のオリジナルの フランケンシュタイナーからの腕ひしぎ逆十字固めというパターンも「自分の方が巧く出来る」とちゃっかり、パクっちゃってますし、5回の防衛を果たした王座戦でも3度が腕ひしぎ逆十字固めで決まっています。

この頃の武藤は既に、ムーンサルトがほぼ大一番での一発のみの切り札になっていたので、じっくりと長い時間をかけて足攻めをして 足4の字固めでギブアップを奪う他に、意表を突いて瞬間的に極めれる腕ひしぎ逆十字固めがフィニッシュになる事も多かったように思います。

 

武藤の腕ひしぎ逆十字固めで思い出深いのは、中西学との防衛戦でアルゼンチンバックブリーカーに担がれ、大ピンチに陥りながらも上から中西の腕を取ってアームロックに極めて転がすや、あっという間に腕ひしぎ逆十字固めに移行してギブアップを奪った瞬間は、さすが武藤!と言った感じでしたね。

 

他にも初防衛戦の佐々木健介戦で、フィニッシュになった時は、ビクトル式逆十字固めの様に、背後から肩に飛び乗り前方回転して極めるというパターンで使用していましたが、武藤の場合は、相手の膝を踏み台にしてから肩の上に飛び乗っていたんですよね。

本来の武藤の身体能力なら、肩に飛び乗る位は簡単にやってのけたのでしょうが、この頃は既に両膝はボロボロだったので、自力でそこまで飛ぶのは厳しかったのだと思います。

 

それだけに本来ならもっとスピーディーに極めれたのに・・・と残念ではありますが、膝を踏み台にして飛び乗るアクションもカッコ良かったので、これはこれでOKです。

 

それに「膝を踏み台に」という部分でピンと来た人も多いと思いますが。もしかしたらこの技が、シャイニングウィザードのヒントになったのかも知れません。

そう考えると武藤にとって とんでもなく大きな功績を残した技となるわけです。

 

武藤の腕ひしぎ逆十字固めは、今でも繋ぎ技として使われる事もあれば、フィニッシュとなる事も多々あり、武藤敬司の長いキャリアの中でも 実は結構大事な技だったのかも知れませんね。