2002年にデビューした石森太二も 早いもので20年のキャリアを重ね、もはやベテランと呼べる域に達してきましたが、これまでの20年に及ぶ長いキャリアの中でも その時その時で、石森は様々なフィニッシュを使用してきました。
石森のファイトを観ていた時期によって、必殺技のイメージも変わってくるでしょう。
スーパースターエルボー
レヴォルシオン
450°スプラッシュ
どの技も その時の石森にとっては大事に使用していた技であり、大一番で切り札として使用されてきました。
2018年に、バレットクラブの一員として新日本プロレスを主戦場にする様になってからは、今までの必殺技の使用を控えて 新たな必殺技として用意したのが、ブラディークロス。
相手の正面から首を 自らの左脇に抱え込み、左脇の下から自分の右腕を差し込んで背中に手を添えると、相手の体を垂直になるまで抱えあげる。
ここまでは、プリンス・デヴィットのブラディーサンデーと同系ですが、脳天から落とすのではなく 正面にうつ伏せに落とし、自分も仰向けに倒れ込む事で、両膝を相手の顔面付近に付き立てる荒業。
バレットクラブとしてのデビュー戦で初公開して、タッグマッチとは言え時のIWGPJr.ヘビー級王者 ウィル・オスプレイから完璧な3カウントを奪い強烈な印象を植え付けている。
その後のスーパーJr.開幕戦でも 再びオスプレイからブラディークロスで勝利を奪い、翌年の1・4ではKUSHIDAからIWGPJr.ヘビー級王座を奪ったのもこの技だった事で、ヒールとなった新生石森の切り札として認知されるに至ったのには時間もかからなかったし、これだけの結果を残しているのだから それも当然の事。
しかし石森が、この技を必殺技に選んだのには、色々と因縁めいた物も感じます。
ブラディークロスの原型とも言えるブラディサンデーは、バレットクラブの創始者デヴィットの代名詞ですからね。
既にデヴィットは、新日本に居なかったとは言っても自身がバレットクラブに加入したのを機に、改良版を使い始めたのは、何かしらメッセージがあったのでしょうか?
それに2010年には、当時ノア所属だった石森は、デヴィットと対戦して ブラディーサンデーで、敗れているんですよね
それ以降 戦いたい相手の一人として
デヴィットの名前を挙げており、バレットクラブの事は抜きにしても、やはり以前から心のどこかで、デヴィットの事は、強く意識していたのでしょう。
ブラディークロスは、ブラディーサンデーの体勢から、変形のプリンスズスロウンに移行する技なので、かなり デヴィットの歴史を連想させる技ではあります。
ノアから流れてきた石森が、デヴィットの影をちらつかせる技を使うというのも面白いですね。
全て単なる偶然かも知れませんが、これも巡り合わせだと考えると、過去に行われた試合にも 全てに意味があるのかも知れません。
プロレスには、そこいらにドラマがつまっています。