清宮はコピーではなく自分らしく武藤を越えるべき

7月16日に迫った武藤敬司の引退ロード第一戦となる ノアの日本武道館大会。

そのトップバッターを努めるのは、ノアの未来そのものである清宮海斗ですが、二年前から闘いたい相手の候補として武藤の名前を挙げ、この2年間で対戦は実現させたものの これまでの戦績は2敗1分と一度も勝てていないのが現状。

それだけに武藤が引退を決めると同時に、その引退ロードでの対戦相手に誰よりも先に名乗りを挙げたのは、清宮にとっての武藤越えは絶対条件である事を本人も嫌と言うほど分かっているからでしょう。

 

ノアを背負うであろう清宮としては、武藤に只の一度も勝てないままでは、これからのキャリアは進めません。

 

しかし若くキャリアもまだ浅い清宮にとっては、老獪な武藤は手強すぎる相手ではあります。

そこで清宮が見いだした打開策とは、武藤敬司の完コピ。

 

武藤の得意技であるフラッシングエルボーをマスターして、それをSNSで披露していましたが、倒すべき相手の技を習得して 揺さぶりをかけたのかと思いきや 何と清宮はフラッシングエルボーだけに留まらず、ムーンサルトプレス、スペースローリングエルボー、ドラゴンスクリュー、そしてシャイニングウィザードまでも見せています。

揺さぶりをかけるにしては少々大掛かりな気もしましたが、清宮の真意は別の所にあったようです。

 

武藤敬司との一体化

 

これは正直どうなんでしょうか

武道館に立つ時は武藤さんと〝一心同体〟になっていたいんです。自分の中に武藤さんを入れて、それで戦えば何かが掴めるんじゃないかと思って…。一滴も残さずに武藤さんをしゃぶり尽くすにはそれしかないと思うんです」と清宮は語りますが、清宮には清宮ならではの良さと言う物があります。

それは逆に、武藤にはない部分でもあるので、無理して”武藤”を自分の中に取り込む必要など無い様にかんじるのですが。

 

武藤にリスペクトを込めて何か一つ継承すると言うのならまだしも、武藤に勝てないから武藤の技を取り込むのでは・・・少し違う様な気がします。

武藤の真似ではなく 清宮らしく自分の全てを出しきって 武藤に勝つ事に本当の意味があるのでは無いでしょうか?

 

もちろん この行動には武藤に勝つ為だけではなく、今後長い目でみて それが自分の為やノアの為になると判断したからでしょうが、それにしても ここまで武藤の色を取り込む必要は無い様に思います。

 

しかし武藤との最後の闘いを控え、清宮は「武藤さんとのシングルは本当にこれが最後だと思っています。だからこそ骨の髄までしゃぶらせて貰おうと思っています」と決意は並々ならぬ物を感じるので、これも考えに考え抜いた末の決断なんでしょうね。

 

個人的には武藤のファンなので、武藤に勝って欲しい想いはありますが、ノアの未来・・・そしてプロレス界の未来を考えるなら ここは清宮の勝利に期待したい所。

ただ最後の武藤越えのチャンスと考えると、勝つだけではなく自分の存在感を示す事も大事な一戦になりそうなので、へたに武藤の色に染まってしまうのは余り得策とは思えません。

 

果たして清宮海斗は、最後の最後に天才・武藤敬司に光を消されることなく、存在感を示した上で、武藤からのバトンを受け取る事が出来るのでしょうか?