棚橋弘至の断崖式フランケンシュタイナー

1990年代から2000年代に掛けては、リング上での攻防に留まらず、エプロンサイドでの攻防が進化し続けていた時期でしたが、エプロンから繰り出す断崖式での技は旧全日本やノアが得意としていて、新日本は余り断崖式の印象は無かったと思います。

2000年代からの新日本の象徴である棚橋弘至なんかは、その対極で必要以上に危険な投げ技をしたり、危険な技で場外に落としたりは、全くやった事が無い訳では無いですが、イメージ的にはほぼ有りません。

 

しかし 棚橋もその場の流れではありますが、断崖式フランケンシュタイナーと言う大技を繰り広げた事があります。

 

棚橋の断崖式と言うのは、ちょっと信じられない様な気がしますが、2006年に急遽組まれたキングスロードのエース・宮本和志との一戦で披露しています。

まぁ断崖式を出したと言っても、自ら狙って この技を出した訳ではなく、エプロンサイドでの攻防から、宮本に断崖式パワーボムを受けそうになった際に、フランケンシュタイナーで切り返して場外に叩き落としたという物。

 

棚橋の断崖式もそうですが、棚橋がフランケンシュタイナーを使う事自体もわりと珍しいのに、この場面でこんな技を出したと言う事は、普段から受けなれていない断崖式パワーボムを喰らいそうになったので、棚橋としても必死だったのでしょうね。

しかし咄嗟に出した技としては、断崖式フランケンシュタイナーは、自分にとっても危険すぎる技でした。


後方に反った際に、自分の後頭部をエプロンサイドにかすめ、思わぬダメージを受けてしまっていたので、この時ばかりは技を受けた宮本よりも 技を仕掛けた棚橋の方が心配になってしまいました。

三沢光晴も小橋健太との闘いで、同じような切り返しを見せた事はありますが、三沢に関しては普段からウラカン・ラナを得意としていたし、断崖式での攻防も慣れた物なので、エプロンサイドの位置や 場外までの距離感なんかは全て身体に染み込んでいるでしょうから、その差が出たのだと思います。

 

相手に致命的なダメージを与える断崖式なので、まともに喰らえば危険なのは間違いないですが、それでも受け身をちゃんと取れれば幾分かは、ダメージを軽減できます。

しかし切り返しの際に、不意にエプロンにぶつけたり、かすめたりしてしまうと自分の思わぬ場面でのダメージとなってしまうので、本当の致命傷にもなりかねません。

 

当たり前のように繰り出されていたエプロンでの攻防、そして断崖式の技。

分かってはいましたが、改めて危険な事をやっていたんだなと思わされた場面でした。