冬木弘道の地団駄ラリアット

冬木弘道の必殺技の一つだった地団駄ラリアット

 

技自体は、単なるラリアットですが、
地団駄を踏んでから 相手目掛けて走り込み 奇声を発しながら打ち込むラリアット。

予備動作があるだけで、技は単なるラリアットでお世辞にもカッコいい技だとは言えません。

あれは冬木がやっていたからこそ、サマになっていたんですよね。

  

冬木スペシャルと並んで、勝利を飾る事が最も多かった技なのですが、冬木は体重の割りに意外とスピードも有るので、突進力もあるし なかなかの破壊力を誇っているラリアットだったと思います。

 
実は「ラリアット」の名手だったんですよね。

 

そんな冬木の地団駄ラリアットで最も印象に残っているのは、1996年に新日本プロレスの1.4東京ドームで行われた安生洋二戦です。

 

それまで安生が所属していたUWF系のプロレスには「ラリアット等の通常のプロレス技は通用しない」と言うのが、一般的なプロレスファンの考えでした。

しかし ある対抗戦をキッカケに、それまでの常識が全てひっくり返される事となります。

1995年に電撃的に行なわれた 新日本vsUインターの全面対抗戦での長州力vs安生洋二の一戦は、圧倒的な強さで安生を完封した長州が、最後は短い助走からの力ラリアットを完璧に炸裂させて サソリ固めで文句の付けようのないギブアップ勝ちを奪ってしまったのです。

 

奇しくもこの敗戦をキッカケに吹っ切れた安生は、プロレス寄りのヒールキャラにチェンジして大ブレイクを果たすのですが、その安生のブレイクを機にメディアで突然「安生vs冬木」の対決が観たいと記事にされ、徐々に対戦の機運も高まっていきます。

そんな中で、新日本恒例の1.4東京ドームで、組まれたまさかの安生洋二vs冬木弘道。

 

まさか機運が高まってきたからと言って、新日本とは関係の無い選手同士の試合を組んでしまうとは・・・なかなか大胆なマッチメイクをした物です。

ふって沸いたUWFとの異色対決にも冬木はどこ吹く風で、長州vs安生を引き合いに出して「ラリアットなんかバッチリ入ってたじゃねぇかよ」と自分もラリアットを得意としている事から、最後まで余裕のスタンスを崩しませんでした。

 

そして遂に実現した対決は、邪道外道の介入ありや、ガムテープでぐるぐる巻きにしたり、女性物の下着を安生の顔に被せたりと 冬木らしさ全開で安生を追い込み、最後は地団駄を踏んでから助走たっぷりのラリアットをクリーンヒットさせて、完勝と言って良い内容で安生を下しました。

確かにグチャグチャな試合だったので一部では批判の声も有ったかも知れませんが、ヒールレスラーの冬木弘道としては、完璧なまでに見事な勝利。

そしてフィニッシュの地団駄ラリアットも実に見事な一撃でした。

 

完全に新日本が話題性だけで組んだ脈絡のないカードでは有りましたが「UWFに通常のプロレス技は通用しない」と言われていた時代に、どちらかと言えばイロモノの冬木が、遊び要素たっぷりの地団駄ラリアットをパーフェクトに叩き込んだのには、それなりに大きな意味があったと思うし 痛快な場面でも有りました。

まぁ この時の安生はもはやUWFと言うよりは、かなりプロレスに寄せて来てはいたんですけどね・・・

地団駄ラリアットをあれだけ 綺麗に受けきった安生も誉めるべきですね。