エル・サムライのリバース垂直落下式ブレーンバスター

エル・サムライが最も輝いていたのは、新日Jr.が世界最高峰と言われていた1997年。

この年のサムライは、スーパーJr.優勝に加えてIWGPJr.を含めたJr.7冠王にも輝くと言う 目覚ましい活躍を見せていました。

 

その時の原動力となったのは、紛れもなく最強の必殺技だった垂直落下式リバースDDTでしたが、この技の開発に至ったキッカケは3年前の1994年にありました。

当時は、J-CUPが初開催された事もあり空前のJr.ヘビー級ブームが訪れていた時期で、その勢いでみちのくプロレスから、スペル・デルフィンがスーパーJr.に参戦して話題となっていた頃。

 

人を食ったようなパフォーマンスと確かな技術で快進撃を続けるデルフィンに対して公式戦で激突したサムライですが、当時の両者の勢いから考えればデルフィンが優勢だったと言わざるを得ません。

しかも ここでサムライはとんでも技を初公開して、新日Jr.の意地を見せました。

それまでのサムライは、時折リバースブレーンバスターを使う事はあったのですが、この時は何と相手が垂直になった時点で、真下に脳天からおとしてしまう予想外の大技を繰り出し、デルフィンに勝利して見せたのです。

 

垂直落下式リバースブレーンバスターです。

 

思わぬ破壊力を持つ技に不覚を取ったデルフィンは「あんな技を隠し持っとんたんかい!!」と素直な感想。

観ているファンも皆そう思いました。

 

技の性質上 重い相手には掛け難いと言う難点はありますが、決まれば正に一撃必殺になり得そうな強烈な技の誕生でした。

 

同大会の公式戦で続けて大物食いを狙って獣神サンダー・ライガーにもこの技をしかけたのですが、ライガーは少々重かったのか、持ち上げきれずにライガーの身体が水平になった所で、落としてしまうと言う2度目の公開にして痛恨のミス!?

しかし高さ的には不充分でしたが、これが意外と後頭部に体重がかかってダメージが大きかったのか、これでライガーにもフォール勝ち。

自身はリーグ戦敗退となりながらも 決勝戦に進んだ2人をこの技で、連破した事になります。

 

この時にライガーに仕掛けた不充分な技は、形的には3年後に開発された、リバース垂直落下式式DDTに近い形であり、仕掛けやすさや安全性を考慮してか、正式にリバース垂直落下式DDTとして生まれ変わる事になります。


新たな技に進化した事で、リバース垂直落下式ブレーンバスターは使用されなくってしまい、完全に封印された技となってしまいます。

 

使用期間はごく僅かであった物のサムライの全盛期を支えたリバース垂直落下式DDTの原型でもあった技なので、サムライの長年のキャリアの中でも垂直落下式リバースブレーンバスターは、切り離せない技だったと言えるのでは無いでしょうか?