歴代日本人の中でも屈指の身長を誇るジャイアント馬場ですが、第一線で闘っていた頃の馬場はその恵まれた巨体を活かした とにかくダイナミックな攻撃がウリでした。
しかし そこはそこは日本が誇る世界のジャイアント馬場なので、派手でダイナミックな攻撃だけでは無く 必要に応じて細かい技や 丸め込み技なんかも要所要所で、使い分けていました。
その代表たる例が、スモールパッケージでしょうか。
馬場は丸め込み技の類は、余り好んでは使用しませんでしたが、馬場のスモールパッケージが大一番で繰り出されたのは、1984年のスタン・ハンセンとのPWFヘビー級選手権。
この試合は約一年前に、ハンセンに奪われた王座を取り返す為のリターンマッチではあるのですが、当時の馬場は既に全盛期を過ぎており、引退説も囁かれていた事から、この時点でハンセンとタイトル戦を行うには、いささか分が悪くは有りました。
しかしプロレスラーとしての馬場は、まだまだ燃え尽きていませんでした。
ハンセンの勢いに終始劣勢の馬場でしたが、諦める事無く勝機を伺い、ウェスタンラリアットも耐え抜き、最後にボディスラムを狙って来たハンセンをクルリとスモールパッケージで丸め込み 一気に3カウントを奪い王座奪回に成功したのです。
PWFヘビー級王座は、馬場の最後のシングルタイトルとなりましたが、王座を明け渡したハンセンとしても まさか馬場があそこでスモールパッケージを出して来るとは、思わなかったでしょうね。
馬場のスモールパッケージも印象に残っていますが、試合後に見せた馬場の嬉しそうな姿が特に印象に残っています。
全盛期の力は既に無かった馬場ですが、よほど改心の勝利だったのでしょう。 プロレスは若さや力やスピードだけでは無いと言う事を満天下に知らしめた勝利だったと思います。
馬場が使う技は、ジャイアントと付けられる事が多いですが、馬場がスモールパッケージを使った場合は、ジャイアントスモールパッケージと呼ばれます。
大きいんだか、小さいんだか、良く分かりません(汗)
その後は、ジャイアントスモールパッケージは、しばらく使われる事は無かったが、1991年の世界最強タック公式戦では、超世代軍として台頭して来た三沢光晴 & 川田利明と闘い 川田の容赦ない蹴りに苦しむも 最後は若い川田を巧みに、ジャイアントスモールパッケージで丸め込んで勝利した事もある。
この頃の馬場は既に、晩年に差し掛かっていたので、正面からやり合えばイキの良い三沢・川田を相手にするのは厳しいので、この頃の馬場が三沢 ・川田に勝つ為の最善の策が、あのジャイアントスモールパッケージだったのでしょう。
馬場は普段 丸め込み技を使わないので、馬場が丸め込むと言う意外性も然る事ながら、馬場にあの巨体で丸め込まれたら、それだけでフォールを返すのは、かなり難しいでしょう。
ある意味、馬場の晩年の技では、最も説得力の有る技かもしれません。