小橋建太のリストクラッチバーニングハンマー

2000年代のNOAHを中心に、プロレス界に流行したリストクラッチ式。

 

自分の持ち技に、リストクラッチを加えて上位技とするのは、様々な選手が様々な技に応用して来た事ですが・・・その理由は単純に威力が上がるからに他ならないです。

技のインフレが激しい昨今のプロレス界に置いて かつては一撃必殺だった技も決め手にならなくなってくるのは良く有る事。

そうなれば対策として また新たに強力な技を開発する必要に迫られるのですが、てっとり早いのが相手の手首を掴んで、受け身を封じる事で、ダメージを増加させるリストクラッチ式です。

 

自分の技に、手首を掴むアレンジを加えるだけで、更に強力な技に生まれ変わらせる事が出来るのだから、様々な選手がリストクラッチ式に注目したのも頷ける話です。

しかし中には、蛇足な物もありましたね。

 

その最もたる例が、リストクラッチバーニングハンマーだと思います。

 

バーニングハンマーは、アルゼンチンバックブリーカーの体勢から、サイドに相手を垂直に落とす超危険技ですが、リストクラッチ式の場合は、相手の股下から左腕を掴む形になります。

元々危険な技に、受け身を封じて更に威力をアップさせる名目で開発した技なのですが、ここに当時から大きな疑問がありました。

 

バーニングハンマーを進化させる必要があったのか!?

 

バーニングハンマーに関しては、元々使用頻度の少ない奥の手で、出せば必ず一撃で勝負を決する事の出来る 文字通りの一撃必殺の最強の技でした。

誰かにフォールを返されたとかなら、技を進化させるのも分かるんですが、バーニングハンマーは一度足りともフォールを返された事も無いのに、何故 上位技を作ったのか…そこは理解しかねましたね。

 

バリエーションを増やす事で、観ている人を楽しませたり、試合に幅を持たせれるという側面から観るなら、それはやはり「プロ」だからの一言に尽きます。

それでも危険な技はやるべきじゃないと言う風潮が広くあったのは事実で、当時のNOAHは、より過激な方向にいく傾向があったので、確かに観ていて怖い部分はありました。

 

しかし技をかける側と 受ける側の技術が一流だからこそ 成立していたプロレスだと言うのは、間違いありません。

危険度の高い技なので、小橋が力量を認めた相手にしか使用する事は絶対に無く 小橋の現役生活で、この技が繰り出された事はたったの2回しかありませんでした。

 

正調式のバーニングハンマーは、三沢光晴と秋山準にしか出した事はありませんが、リストクラッチ式は初公開は、意外にも2004年の田上明戦。

燻る事も多かった田上ですが、同期の小橋は田上の本当の強さを分かっていただけに、敢えて田上を初公開の相手に選んだのかも知れませんね。

 

2度目の公開はKENTA戦

Jr.ヘビー級相手に、こんな技を出すなんて危ない!と思うかも知れませんが、KENTAは小橋の弟子で、KENTAの実力を誰よりも分かっているのも師匠である小橋です。


「あいつなら大丈夫だと思った」と語っていた事から KENTAへの信頼が見てとれます。

奥の手を出してまでKENTAを潰しにいったのは、KENTAをレスラーとして認めているからこそ 対等なレスラーとして向かいあったと言う事でしょう。

 

技の格としては「リストクラッチ」している以上は、プロレス技的にバーニングハンマーよりも上だと思いますが、実際には正調版の方が角度からしてエゲツないので、実は強烈な様な気がします。

勿論 食らった事なんて無いので分かりませんが、相手の担がれている角度のせいで、バーニングハンマーと言うよりも、リストクラッチ式のデスバレーボムにも見えちゃうのが難点かも。