AKIRAのムササビプレス

ダイビングボティプレスは、古くからプロレスで使われている大技ですが、やはり時代の流れと共に、見映えの良い技などに取って変わられるのは、世の常です。

今では、ダイビングボティプレス系の技を使う選手の殆どは、フロッグスプラッシュの方を好んで使う傾向にありますね。

フロッグスプラッシュは、空中で屈伸運動をして”動き”を入れている分だけ、見た目的に映えるので、観られる事を意識しているプロレスラーとしては、見栄えの良い技を重視するのもしょうがない事では有るかも知れませんが、それでもこの時代の流れに逆行するかの様に、頑なにフロッグスプラッシュではなく ダイビングボディプレスを使い続ける選手も居ます。

 

その一人が、AKIRAです。

 

本名の”野上彰”でファイトしていた時から一貫して使っており フィニッシュとしても愛用していたのが、ダイビングボディプレス。

通称ムササビプレスです。

 

大きな舞台に立つ事は、さほど無かったAKIRAですがレスリングセンスや身体能力は素晴らしい物が有り、あのポジションに甘んじていたのが不思議な位の選手でした。

その上 技のフォームは非常に美しく、その中でも特にムササビプレスの美しさは、プロレス界髄一と言われ「金を払ってでも観にいく価値は有る。」と良く形容される程の業界屈指のダイビングボディプレスの使い手でした。

 

フロッグスプラッシュ全盛の時代に、敢えてダイビングボディプレスを使い続けたAKIRAの拘りは大好きです。

そんな拘りがあったからこそ一切乱れる事の無い美しいフォームで、ムササビプレスを繰り出せるのでしょうね。

新日本プロレス時代に、野外で試合をした事が有り 満月を背景にムササビプレスをしている場面がありましたが、本当に美しく そのシーンは芸術作品の様でもあったのを覚えています。

 

1999年に、武藤敬司と蝶野正洋がNWOの分裂から抗争をスタートさせた頃に、これまで長期欠場していた野上彰が突如 AKIRAとして金髪にフェイスマスクで現れた時は驚きましたが、蝶野の仲間として武藤にムササビプレスを放っていった瞬間も衝撃の瞬間でした。

一時期はJr.ヘビー級の王者にもなり 中心に立つ事も有った野上ですが、T2000に入ってからのあくまで蝶野のサポート役に徹するAKIRAもなかなか味が有って良かったと思います。 

自身の必殺技を惜しみなく 蝶野のサポートの為に投下している姿は、まるでヒロ斉藤のセントーンの様で、AKIRAの存在はT2000の勝利に大きく貢献していたでしょう。

 

あのダークヒーローを思わせる風貌に、誰よりも美しく宙を舞う姿は、まるで劇画のキャラクターの様で、本当にカッコ良かったです。

その時代ごとに、結構ビジュアルが変わるAKIRAですが、この時期のAKIRAが断トツで一番カッコ良いと思います。 勿論”ムササビプレスをやっている姿”込みで。