中嶋勝彦のデスロール

今となっては、ヘビー級戦士としてNOAHのトップグループに位置する中嶋勝彦ですが、その必殺技ヴァーティカルスパイクで、これまで数々の強敵からピンフォールを奪い 数々の勲章を手にして来ました。

 

でもヴァーティカルスパイクを必殺技に据えたのは、中嶋がヘビー級転向を果たして暫くしてからで、NOAHのJr.ヘビー級で活躍していた頃のメイン必殺技はデスロールでした。

デビュー間もない頃の全日本Jr.時代から使用していたのが、天才空手少年だった頃の片鱗をのぞかせる、飛び後ろ回し蹴り 通称「R-15」。

そのR-15を後頭部に叩き込むのが、デスロール。

 

初公開が2007年ですが、当時 中嶋は世界ジュニアヘビー級王者で、Jr.リーグ戦を制した強敵クリス・セイビンの挑戦を迎えるに当たって開発した技。

セイビンとのタイトル戦は凄まじい激闘でしたが、その闘いに終止符を打ったのは、この日の為に開発した新必殺技デスロール

空手の達人の中嶋の蹴りは、只でさえ威力抜群なのに、ジャンプと回転を加えたR-15を後頭部に打ち込むのだから、その破壊力は凄まじいでしょう。

喰らった後のセイビンの力なく崩れ落ちるさまが、それを物語っていました。

 

この時代は、ジャーマンスープレックスが、メインの必殺技でデスロールはそれ程目立った技ではありませんでしたが、2008年に主戦場をNOAHJr.に移してからの中嶋の眼前に立ちはだかったのは、当時NOAHのJr.ヘビー級のトップに君臨していたKENTA。

 

NOAHのみならず 国内のJr.ヘビー級選手としてはKENTAの格はかなりの物だったので、まだ若い中嶋は普通に考えればそうそう勝てる相手では無かったし、事実 初対決もKENTAのGo2Sleepの前に撃沈しています。

この時期から、中嶋はジャーマンスープレックスではなく デスロールをメインの必殺技として使用する様になります。

 

これは思うに、越える壁として立ちはだかっていたKENTAの存在が、大きかったのではないでしょうか?

KENTAにどうしても勝ちたい。

自身の得意とする蹴りでは負けたくない。

 

負けず嫌いな中嶋ですから、そんな思いがあったかも知れません。

 

だからこそ当時の中嶋の最強の蹴り技であるデスロールを、前面に出して来たのだと思っています。 

2009年には、GHCJr.ヘビー級選手権で、デスロールを炸裂させてKENTAからようやくフォールを奪い、KENTA越えを果たすと同時に、GHCJr.ヘビー級王座を奪取しています。

 

その後しっかりとKENTAには、初防衛戦で王座を取り返されていますが、外敵ながらあの時代のKENTAに勝っているのは、何気に凄い事だったと思います。

デスロールは単純ながらも結構良い技だったと思うんですけど、ヘビー級転向を果たした現在では、フィニッシュになる事はまず無いですね。

 

個人的には、見慣れた技であるヴァーティカルスパイク=垂直落下式ブレーンバスターよりも、デスロールを必殺技にして欲しかったんですけどね。

今の中嶋勝彦が、デスロールをしたら かなり強烈そうですけど。