棚橋弘至の技で好きな言えば、大体がハイフライフローやドラゴンスープレックスを挙げると思います。
確かに僕もハイフライフローが好きなんですけど、他に地味に好きな技が有ります。
それが、ローブローです。
早い話が、金的ですね。
棚橋にローブローのイメージなんてさほど無いと思います。 金的なんてのは反則技の代表格みたいな存在で、基本的にヒールの技なので、絶対的ベビーフェイスかつ 新日本のACEである棚橋には、無縁のイメージでしょう。
デビューしてからヒールを経験していない棚橋が、ローブローなんて使う事あるの？と思う人も居るかもしれませんが、場面によってはしっかりと やっちゃってます。
全てが記憶にある訳では無いですが、印象に残っているのは2015年のG1クライマックスでのAJスタイルズとの一戦。
勝てば決勝進出の大事な局面でのAJとの一戦。
AJは、ご存知の通り 身体能力やテクニックに優れた世界最高の一人と言われる強豪中の強豪。 それでいて時と場合によっては、ローブローなどの細かい反則を織り交ぜて来るインサイドワークに長けた選手。
試合は一進一退の攻防だったが、2人の攻防に巻きまれたレフリーがダウンしてしまいリング上は、レフリー不在。 その中で隙をみて背後からAJがローブロー！
たまらず棚橋は悶絶してしまいます。
ブーイングの中 苦しむ棚橋を尻目に、次の大技を狙うAJに大きな隙が出来ていた事を百戦錬磨の棚橋は、見逃しませんでした。
今度は棚橋が、真正面からローブローでお返し！！
この予想外の棚橋の攻撃に、場内は拍手喝采。 リング上では2人が急所を抑えながら悶絶している何とも珍しい光景に。
絶対的なベビーフェイスの棚橋と言えども、急所攻撃はやります。・・・やりますが自分から仕掛ける事は、まず有り得ないです。
やる時はいつでも相手に、先に掛けられた時のお返し。
今年のG1でもEVILに急所を蹴られた時に、ローブローでお返しをしていましたね。
本来なら金的なんかは、ブーイングの対象になりそうな物ですが、絶対的ベビーフェイスの棚橋が反則の金的を受けた時に、今度はお返しをする場面を作り出す事でブーイングどころか、拍手と大歓声に包まれるのだから 棚橋のこのローブローのやり方は、非常に巧いと思います。
ローブローであんなに、スカッとする事なんて普通は無いですからね。 ここまで観客の支持を集める金的攻撃なんて プロレス界でもそうそう無いでしょう。
ズルいだとか、卑怯だとか、何なら反則攻撃と言う事すらも感じさせない棚橋弘至のローブローは、ある意味 職人技と言えるかも知れませんね。