現在のプロレス界では、とにかく膝蹴りが乱れ飛んでいます。
それこそ序盤の繋ぎ技からフィニッシュホールドに至るまで。
様々な選手が、あらゆるシチュエーションで、あらゆる型の膝蹴りを使用しますが単純な技ゆえに、誰でも使える技だし ここから様々な形に派生していった事も有り、膝蹴りと言うのは非常に応用し易い技の一つです。
しかし以前は、ここまでプロレス界に膝蹴りが、飛び交ってはいませんでした。
UWFでは格闘技寄りのプロレスを展開していたので、膝蹴りを始めとした打撃は頻繁に見られましたが、それも主に組みついての普通の膝蹴りであり、試合の流れでそれでKOとなる事はあったとしても、必殺技と言う訳では有りませんでした。
少なくともUWFではない純プロレスの方では、必殺技として使用される事は無かった筈です。
何故ここまで現在のプロレス界に、膝蹴りが流行っているのかと言うと 恐らく流行の発信源は、高山善廣だと思います。
高山は元々UWFインターナショナル出身なので、膝蹴りや掌底などの打撃技は得意としており、1997年の全日本プロレス参戦後からは、ジャイアント馬場の指導の元ガッツリとプロレスに溶け込み、自分の元々得意としていたUWFスタイルとプロレスのスタイルを融合させて現在に至ります。
高山の最高の技は、エベレストジャーマンに間違いはありませんが、高山の巨体を存分に活かして、試合の中で大きな効果を与えたのは膝蹴りでした。
尻餅や片膝の低い体勢の相手に叩き込む膝
中腰の相手に叩き込む膝
とにかく高山の膝蹴りは、あの体格なので強烈その物。
特に走り込んでからカチ上げる様に放つ”ランニングニーリフト”は、ヘビー級の相手が、一瞬宙に浮き上がる程の衝撃を誇ります。
最初のうちは繋ぎ技としての使用だったのが、思いのほか効果が有ったのか、いつしか3カウントも奪える必殺技としても使うようになります。 見るからに強烈そうな技なのに、繋ぎとしてもバンバン膝を入れて来るし フィニッシュとしても狙い澄ました一撃を入れて来るし 相手はタマッタもんじゃないでしょうね。
あの大型冷蔵庫みたいなスコット・ノートンですらも、フォールを奪われているのだから その破壊力は本物でしょう。
若き日の中邑真輔が、高山のランニングニーリフトを散々喰らった事でボマイェを完成させたのが最もたる例で、2000年代に入ってからは高山の影響か・・・走り込んで膝蹴りを多用する選手が、急激に増えて行く事になります。
ただ殆どの選手に言える事ですが、高山善廣のランニングニーリフトの迫力には、誰も及んでいないと思います。
個人的には、このランニングニーリフトこそが、最も高山の”帝王”っぷりを感じさせる技です