棚橋弘至のスリングブレイド

プロレスラーには、それぞれ必殺技と言う物が必ず存在する訳ですが、何を必殺技に設定して 何を使用するかは自分で決めるのが大半だと思います。

しかし必ずしも それが、ファンに受け入れられるとは限りません。

 

その代表たる例の一つが、棚橋弘至のスリングブレイドでしょうか。

棚橋がスリングブレイドを使用し始めたのは、2005年前後

まだハイフライフローを習得する前の話で、当時の棚橋はドラゴンスープレックスを必殺技にしており それと並ぶ新必殺技として開発されたのが、スリングブレイドでした。

 

ジャイアント·バーナードらの大型外国人にも体格差に関係なく 技を決める事が出来るので、これから新日本のトップになる為に奮闘していた当時の棚橋には、必要不可欠な技でした。

初めて この技を見たときは「良い技だな」と思ったんですが、ネット上を始めとする周囲の評判は、悪かったですね。

 

この技が…と言うよりも正確には、必殺技としての評価が低かったのかも知れません。

第一回NJC決勝戦の中西学戦

IWGP初戴冠となったバーナード戦

その いずれもフィニッシュは、スリングブレイドだったのですが、フォールを奪いはした物の説得力に欠ける感は、確かにありましたから。

 

ネット上でもスリングブレイドをフィニッシュにする事に対しては、さんざんな評価でした。当時の棚橋は、とにかく嫌われていたからかも知れませんが、やる事なす事ファンの支持を得られず 常に試行錯誤を繰り返していた様に思います。

 

スリングブレイドの一番の問題点として よく挙げられていたのが、必殺技である事。

「必殺技じゃなくて カウンターで決めれば良いんじゃないか?」と言った意見もチラホラ聞こえてきて それが棚橋の耳に入ったのかどうかは定かではありませんが、2006年頃にハイフライフローをメインフィニッシャーに切り替えると同時に、ある変化が見えてきました。

 

これまでフォールを狙う技として使っていたスリングブレイドを走ってきた相手にカウンターで仕掛けたり、不意を付いてショートレンジで決めたり、担ぎ上げられた時に空中でスリングブレイドで切り返したりと、その使い方に明らかに工夫の跡が見られる様になっていたのです。

周りの意見を参考にしたのか、試行錯誤の結果そこに行き着いたのか…それは棚橋にしか分かりませんが、ここいらを境に棚橋に対する批判も減ってきて 新日本のACEとして支持される様になってきたのだと思います。

 

まぁ それでも一定数のアンチと言う物は存在しますが、棚橋のスリングブレイドの使いどころが良くなったおかげか、スリングブレイドに関する批判と言うのは、無くなりました。

自分に対する批判などを その後のファイトで黙らせたのは本当に大した物ですが、棚橋も長年の激闘で膝に爆弾を抱え ハイフライフローを乱発出来ない「今だからこそ」 意外なフィニッシュとして、たまにはスリングブレイドで、フォールを奪う棚橋の姿も見てみたい気もします。