伝説の対抗戦と言われる新日本プロレスvsUWFインターナショナル 10.9の東京ドーム大会。
最も注目されたのは、勿論メインの武藤敬司vs高田延彦なのですが、それ同様に注目の一戦だったのが、長州力vs安生洋二。
プロレス界での格には、圧倒的な差はあれど会社vs会社となれば、そこは関係なく それまで犬猿の仲だった新日本とUインターは、これまで幾度と無くマスコミを通しての挑発を繰り返してきました。
現場監督として新日本を引っ張る長州と 取締役として経営にも携わり表に出る事の多かった安生。
当然のごとく この二人の間に確執がある事は、周知の事実でした。
様々な利権が絡み 1995年には対抗戦が始まるのですが、安生は「200%勝てる」と豪語。
後に「200%男」と呼ばれる片鱗を見せつつも自分達のやってきたプロレスに対するプライドも覗かせます。
東京ドーム前の前哨戦で、長州と安生がタッグマッチながらも前哨戦となりますが、長州が圧倒的な力を見せるも パートナーが敗れ長州組の敗戦となり 結果的にはUインターの勝利で終わります。
しかし試合に敗れはしたのですが「俺をキレさせたら大したもんだよ」と試合後の長州の言葉どおり チームとしては負けましたが、長州本人はまだまだ余裕な感じでしたね。
そして迎えた10.9でのシングルマッチ
安生を全く寄せ付けずに、長州はここでも圧倒的に力でねじ伏せます。
安生が間接を決めても 長州は涼しい顔であっさりエスケープしたり 安生の打撃を簡単に受け止めマットに叩きつけたり 安生の全てを受け止めた上で、ことごとくハネ返して見せたのです。
そして最後は、力ラリアットからのサソリ固め
正直UWF相手に、これらの技が決まるか疑問ではあったのですが、ラリアットの助走のタイミングを一旦ずらしてから完璧に決めてみせた長州は流石の一言。
それにしてもコーナーに詰めて安生を殴り付けている時の長州の気迫は物凄く ここまで一方的な試合になるとは、思っていませんでした。
そのあまりの気迫に、試合後のインタビューで「キレたんですか?」と聞かれると
「キレちゃいないよ。」
あの長州小力のネタで有名な「キレてないですよ」の元ネタが炸裂しました。
小力が有名になり過ぎて「キレてないですよ」が独り歩きするほど浸透してしまいましたが、本物は「キレてないですよ」とは言って無いんですよね(笑)
いやぁ テレビの力って恐ろしい。
それにしても 安生戦の長州は本当に強かった。
「キレちゃいないよ。」と言った長州の言葉は、嘘でも見栄でもなく本当の事でしょう。
安生とは色々とあったので、確かに怒りはあったでしょうが、試合中には決してキレてはいませんでした。 それどころか安生の攻撃に対して 全て冷静に対処していたのは最後の力ラリアットの打ち方を見ても分かると思います。
オカダ・カズチカの言葉を借りるなら「レベルが違うんだよ!」です。
武藤vs高田の様な遺恨も何もないスポーツライクな闘いも良いですが、長州vs安生の戦前からの遺恨や 一方的な試合展開 そして長州の「キレちゃいないよ。」の余裕シャクシャクな発言
対抗戦としては、余りにも完璧な流れでした。