三沢光晴「お前らの思う通りにはしねぇよ、絶対!」

2000年初頭は、日本プロレス激動の時期でした。

 

ミスターIWGP・橋本真也の新日本解雇

三沢光晴の全日本社長退任から退団

そして この両者がZERO-ONEとNOAHをそれぞれ設立。

この二人の周辺の出来事だけでもプロレス界には、大きすぎる事件でした。

 

2001年に、ZERO-ONEが旗揚げ戦を迎え 橋本がメインイベントに用意したのは、橋本&永田vs三沢&秋山と言う物凄いカード。

退団したばかりの新日本の永田とタッグを組むと言うのも凄いんですが、それ以上に一年前では、絶対に考えられなかった三沢や秋山との対戦。

こんなカードを用意されては、プロレスファンなら興奮しない筈がありません。

 

橋本と三沢が、新日本と全日本を辞めたからこそ実現したカードです。

 

案の定 試合はかなり盛り上がり 永田と秋山のラインが出来る副産物もありました。

最終的には、不意をつかれ後頭部にエルボーを食らった橋本が、投げ捨てジャーマンで敗れ 試合は終了するのですが、最大の山場はここから。

 

収まらない橋本は、NOAH勢に食ってかかる中で、リングサイドに何と小川直也が現れ「橋本!ダラしねぇ試合してんじゃねぇよ!」と敗れたライバルを一喝

更には今度は、三沢に向かって「受けてもらおうじゃねぇか勝負を!」

 

小川と三沢の遭遇なんていうのは、とんでもなく刺激的でしたが、恐らくこの発言は小川が勢いに任せて言った物で、この手の根回しの無い対戦要求は、三沢が最も嫌う物。

小川に突っ込んでいくや 何と三沢が、怒りのエルボーを叩き込みます!

 

まさか あの三沢が試合後に、こんなアクションを行うとは、全日本時代には絶対にあり得ない行為。

これを機に、セコンドも入り交じって大乱闘に発展し その場にいた藤田和之に対して何故か秋山準が蹴りをいれ 藤田までもが怒りモード。

秋山としては「面白そうな奴を見つけたから唾をつけといた」と言う事らしいのですが、リング上は益々ヒート。

 

藤田「誰が一番強いか決めれば良いじゃねぇか!」

橋本「お前らやりたかったらいつでもココへ来い!」

 

こう言った乱闘になった場合に、次のストーリーに繋げるのは、元・新日本勢はお手の物。この機に乗じてZERO1で、もう一発花火を挙げようと橋本が煽る。

藤田も煽る。

 

解説席にいた武藤もリングに上がれと言わんばかりの場内・武藤コール

もはやカオス状態です。

 

こんな凄いメンツの こんな場面が見れるなんて誰が思ったでしょうか?

しかしここで三沢は、元・新日本勢のペースに飲まれる事無く

 

「お前らのなぁ、思う通りにはしねぇよ、絶対!」

 

とピシャリ!

先程は思わずエルボーを叩き込んでしまった三沢ですが、この反応は当然でしょう。ここで橋本や藤田・小川のペースに飲まれてしまっては、思うつぼですから最後まで自分の信念を貫いたのは、実に三沢らしいです。

 

三沢は信頼関係の無い対戦は、絶対に組みません。

事前交渉なしの小川達の発言は、三沢としては信用出来ない行動だったのでしょう。

 

にしても三沢が試合後に、吠える様に、マイクパフォーマンスを行なうと言うのは、信じられない場面でした。

いや パフォーマンスというのは、間違ってるかも知れませんね。

あれは、プロレス的なパフォーマンスでは無く ガチの本音だったのだと思います。

 

憮然とした表情で、リングを降りて引き上げて行く三沢の姿が、それを物語っていました。