矢野通の鏡割り

矢野通の勝ち方と言えば、真っ先に思い付くのは、髪の毛を引っ張ったり 小道具を使用したり 金的などの反則を駆使した上で、クルリと丸め込む。

このイメージが物凄く強いと思います。

実際にこの手段で、内外を問わず、様々な大物を仕留めているので、矢野の必勝パターンと言って間違いないでしょう。

 

しかし丸め込みや反則ではなく、自分より格上の相手をも一発で仕留める事の出来る強烈な必殺技を 実は矢野も持っています。

滅多に使わない技なので、余り有名な技では無いですが、鏡割りという技。

 

相手の背後から左脇に、自分の左腕を差し込み首の後ろに添えて、更に右腕で相手の右腿を外から抱え込むと、そのまま相手の体を持ち上げ、尻餅をつきながら、後頭部や背中からマットに叩きつける変形サイドバスタ-。

 

矢野の技にしては、余りにも強烈そうな正統派の技ですが、相手を叩き潰す為の矢野の技と言えば、凱旋直後から使用していた鬼殺しがありました。

しかし鬼殺しでは、3カウントを奪えなくなり繋ぎ技に降格されてしまうのが、意外と早かったので、そんな中で編み出された有無を言わさず3カウントを奪える技。

それが鏡割りです。

 

初公開は、棚橋弘至との抗争が激化していた2010年。 この時期は一年で何度も両者のシングルマッチが組まれていますが、その抗争の中で、初公開の鏡割りで、何とACE棚橋から完全な3カウントを奪っています。

丸め込みではなく 力で相手をねじ伏せるこの勝利は、矢野らしくないと言えば矢野らしくないんですが、それでも小狡いだけじゃない矢野の違う一面が見れた瞬間でした。

 

その後は乱発はせずに、ここぞと言う時に繰り出す奥の手として使用されており、ノア参戦時には杉浦貴やKENTAらのトップ勢からも鏡割りでフォールを奪っていて 他団体でもその破壊力を見せつけています。

 

強烈な技を身につけた矢野の格上げもあるか?と少し期待はしたんですが、ポジションの変動も特に無く いつもと同じ矢野でした(汗)。

むしろ あの時よりも小狡さがパワーアップして 鏡割りの使用頻度も更に減り、コミカルな部分だけが、かなり増している感じです。

 

あれが矢野のやりたかったスタイルと言われれば、それまでなんですが本当ならもっと上を目指せるポテンシャルを持っている選手だけに、少々勿体無さは感じます。

かと言って矢野に、IWGPに近い位置で闘われても困るんですけどね。

 

ただ近年のG1では、内藤哲也や飯伏幸太、ジョン・モクスリーなどの大物喰いが恒例になっている矢野ですが、鏡割りを解禁すれば もっと上位に食い込めると思います。