本間朋晃のこけし

本間朋晃の代名詞と言えばこけし

コーナー最上段から大きくダイブするのではなく、前傾姿勢で倒れこむ様に落下していく形のダイビング・ヘッドバット。

 

余り使い手のいない落下式のヘッドバットですが、かつて ダイナマイトキッドやクリス・ベノイと言ったダイビングヘッドバットの名手と呼ばれた選手達も使っていた事があり、彼らの場合はダイビング式と落下式を状況に応じて使い分けていましたが、本間は一貫して落下式に強いこだわりを見せています。

自分の技に対しての こだわりの姿勢はイメージを作り上げる意味では大事な事で、長年使い続けてきた甲斐もあってか、今では本間というレスラーのイメージとして すっかり定着しています。

 

技の破壊力と言う面では、ダイビング式と比べても遜色ないとは思いますが、如何せんカッコ良くは無いのが最大の欠点かも。

いや、そこがまた こけしらしくもあるので、逆に最大の利点かも知れませんね。

 

しかし フィニッシュホールドであるにも関わらず、その命中率は極めて低く 相手に避けられて自爆する確率が物凄く高い事が、本間の勝率の低さに直結しているのが何とも悲しい所です。

それだけに2015年のG1公式戦で、2年越しの初勝利を 石井智宏からこけしで奪った時には感動でした。

新日本に移籍をしてからもジョバーとして ずっとやってきた本間が、G1での勝利、タッグを組んでいたテンコジを差し置いて東京ドームでの自力勝利も全て こけしで掴み取った時には、これまで頑張ってきた本間とこけしに心から拍手を送りたい気分でした。

 

しかし2017年に、本間を襲った突然のアクシデント。

変形DDTを受けた際に、頸椎損傷の重症を負い全身麻痺になってしまった本間は長期欠場となってしまいます。

プロレスはおろか、私生活すらマトモに出来ない状態では、本間の復帰は、絶望的だと誰もが思いました。

 

しかし本間は帰ってきました。

477日にぶりに、リングに立った本間は以前の様な動きは出来ない物の 今の自分に出来る精一杯の力で必死に闘います。

しかし頸椎損傷の重症を負った首で、こけしを放つのは、再び致命的な事故に繋がりかねません。

本間ファンの中でも こけしの封印が頭をよぎったと思います。

 

それでも・・それでも本間は、自身の代名詞であるこけしに拘ったのです。

復帰から間もなくして 恐怖を物ともせずに、本間はコーナーからこけしで落下していきます。

これには、プロ根性以上の本間の意地みたいな物を感じました。

 

自分が本間朋晃である以上は、こけしは切り離せないもの。

だからこそファンの期待に応えるためにも、本間が本間である為にもこけしを使う事は止めないのでしょう。

 

見ている方は心配にもなりますが、本間の自分の姿と信念を貫く姿は、正しく本物のプロレスラーだと思います。

ただし本当に、事故にだけは気をつけて貰いたいですけどね。