三沢光晴の欽ちゃんキック

三沢光晴と言うレスラーを知る人ならば、三沢の打撃技と言えば間違いなく100人中100人がエルボーを挙げるでしょう。

エルボーに関しては、三沢が日本一の使い手と言う事に対して、異論がある人は少ないと思いますが、その反面 蹴りに関しては驚く程イメージがありません。

 

タイガーマスク時代に蹴りの練習をしたけど上達しなかったと本人が語っていた様に、三沢には蹴りは合わなかったんでしょうね。

三沢ほどの天才レスラーでも そこまで不得意な分野があるのには、ちょっとビックリですが、三沢とて全く蹴り技を使わない訳ではありません。

 

ただ普通の蹴りではなく 三沢の蹴り技は独特な物が多いのも特徴で、カウンターでのスピンキックを始めとして、前方回転式の踵落とし。

そして ある意味、最もインパクトのある蹴り技が、欽ちゃんキックでしょう。

 

前屈みになった相手に対して、ジャンプしながら相手の胸あたりを、片足で蹴り上げる技。

そのフォームが”欽ちゃん”こと 萩本欽一のいわゆる”欽ちゃん飛び”に似ている事から通称「欽ちゃんキック」と呼ばれます。

 

一見すると ちょっとふざけてるみたいだし、お笑い系のレスラーが使用しても何ら違和感は有りません。 とてもじゃないけど三沢クラスのレスラーが使う様な技には見えないでしょう。

まぁ普通に観て 余りカッコ良い技では無いですが、連発で打つ事も多く序盤の繋ぎでは
頻繁に使用していた 三沢の得意技です。

あの見た目なので、ぶっちゃけ それ程威力が有るようにも見えませんが、かつてこの蹴りを喰らった本田多聞がモロに顔面に受けた事が有り、全治3ヶ月の大怪我を負った事もある程です。

見た目がちょアレなだけで、ヘビー級が突きあげる様に飛び蹴りを打って来るのですから、辺り所が悪ければ当然ながら大ダメージを負ってしまいます。

欽ちゃんみたいな蹴りだからって馬鹿には出来ないんですよね。

 

プロレス技に安全な技なんて無い!とは誰かが言ってましたが、本当にその通りだと思います。

普段は何気なしに観ている序盤の繋ぎ技だろうと、ほんの少しの気の緩み、僅かな受け身のミス、微妙な角度のズレ、本当に些細な事でも事故に繋がりかねません。

そんな危険な世界でやっているプロレスなんだから、やっている方は当然ですが、我々観ている側の人間も どんな技でも それが”当たり前”になってしまってはいけないと言う事ですね。

 

それと個人的には、是非”欽ちゃん走り”からの欽ちゃんキックを決めて頂きたかったのですが、結局それは最後まで実現しませんでした。

流石に、これをやったら三沢社長やり過ぎですけどね(笑)。