オカダとザックが魅せた令和のストロングスタイル

4.9 新日本プロレスで行われた両国国技館大会

メインイベントのIWGP世界ヘビー級選手権として行なわれたオカダ・カズチカvsザック・セイバーJr.の一戦は、贔屓目なしに凄まじい試合でした。

 

先のニュージャパンカップを圧倒的な強さと技術で制覇したザックは、その勢いのままにオカダの持つIWGP世界ヘビー級王座に挑戦となりましたが、準決勝で内藤哲也に敗れてしまったオカダとしては、トーナメントでの屈辱を晴らすべく このタイトル戦だけは死んでも負ける訳にはいきません。

供に50周年イヤーの主役となるべく 覇権を握る為の闘いは、文字通りの死闘に。

 

とにかくザックの関節技がエグい!そして何度見ても 予想出来ない様々な角度からあらゆる部位を手や足を使い、バキバキに固めて来ます。

「意地でもギブアップだけはしないつもりだった」との意志でこの試合に挑んだオカダでしたが、ギブアップはしなかったからこそ、脱出不可能の関節技がまるで拷問の様で、終始ヒヤヒヤしっぱなしでした。

勿論オカダとて負けっ放しではなく 要所要所で的確なドロップキックを打ちこんだりと果敢に攻め込んで行きましたが、グラウンドの展開になると流石にザックの独壇場。

耐えるオカダの展開が続きます。

 

特にクラーキキャットを完全に極められた場面が、メチャクチャにエグかった!

オカダがもがく度に、その都度 形を変えて更にオカダの関節を更に極めて行くザックの攻撃は、正に緻密に計算されたコンピュータの様でも有り、その時の相手の体勢や状況に応じて瞬時に攻撃の手を変えて来るので、オカダとしてはとにかく耐えに耐えて ロープに逃げるしか奪取する方法はありません。

オカダの長い手足が、こう言う場面では非常に活かされていました。

 

リバースネックブリーカーに抱えあげたオカダの腕をザックが取って、上から腕関節を極めたかと思えば、オカダはそこから強引にリバースネックブリーカーで叩きつけた場面

マネークリップを巡る切り返し合戦。

オカダにしては珍しい卍固めの掛け合い。

いつも以上に厳しいザックの強烈な打撃。

ザックの場外での打撃を受けきった上で、オカダの場外ツームストン。

 

その全てが見応え充分の攻防でした。

 

特に試合終盤でのレインメーカーを回避したザックが、スリーパーホールドを極めるも、それを前方へ放り投げるオカダ。

逆さ押さえ込みのフェイントから、ショートレンジラリアットを回避したザックが、コーナー2段目から飛びつきスイングDDT。 そのままクラッチを離さずに必殺のザックドライバーの体勢に入った所を 巧く体勢を入れ替えたオカダが開脚ドライバーで叩きつけて、最後は遂にレインメーカーを炸裂させて3カウントを奪取し 3度目の防衛に成功しています。

 

いやぁ 試合全般も凄かったんですが、最後の攻防は凄まじいの一言です。

歓声を出せない筈の会場が、思わず大歓声に包まれてしまった事が、この闘いの凄まじさを物語っていました。

 

ストロングスタイルは死んだ

近年の新日本はそう言われ続けて来ました。 確かにアントニオ猪木や長州・藤波の時代とは違いますし、闘魂三銃士の時代とも違います。

新日本のリングも時代の流れと供に、様変わりした事は揺るぎない事実です。

しかし令和の今だからこそ出来るプロレスがそこにはあり、偉大な先人達が築き上げて来たストロングスタイルも、そこにはあったと思います。

 

投げ技・打撃技・関節技・飛び技・丸め込み技と全てを内包し、レベルの高い切り返し合戦や技の応酬 そして一瞬たりとも気を抜いてしまえば、あっという間に持っていかれてしまう緊張感のある闘いは、正しくストロングスタイルの闘い。 

いや 正確にはオカダとザックならではの、令和の時代にアレンジされた現代のストロングスタイルと言うべきでしょうか?

 

この試合を見た後ならば確実にこう言えます。

ストロングスタイルは、まだ死んでいない

 

勿論この意見には賛否両論あるでしょうが、少なくとも僕の目にはそう見えました。

敗れたザックも素晴らしかったですが、今のオカダは本当に穴が無く完璧な王者としての姿を見せています。 次期挑戦者には内藤哲也が決まりましたが、今年3度目の対戦はお互いに手の内を知るベストバウト必至の対戦カード。

オカダの防衛のロードから目が離せそうにありません。

 

反則や介入が多い 近年の新日本は色々と批判を受ける事も多いですが、この王者オカダが居る限りは、新日本はまだまだ大丈夫! まだまだ熱い!!

これから築いて行く令和のストロングスタイルが最終的に、どんな形に進化を遂げて行くのか・・・新日本プロレスは創立50周年にして尚 進化を続けています!