大森隆男のアックスギロチンドライバー

大森隆男と言うレスラーが、旧全日本時代に中堅選手から、ノーフィアーとしてトップクラスにまで駆け上がって行く事が出来たのは、紛れも無く日本人の間では空き家になっていたアックスボンバーを身に付けた事が、大きく影響していたと思います。

その為に「大森=アックスボンバー」と言ったイメージも完全に出来上がってしまい、仮にここから大森が他の必殺技を使用したとしても 定着しないだろうなとは、ずっと思っていました。

 

しかし大森もNOAHを退団して 新天地としてWJに主戦場を移す事となったので、心機一転を図る為か、海外遠征で新たな技を用意して来ました。

それがアックスギロチンドライバー

立っている相手の懐に入り込み、自ら中腰になり相手の両足を抱えると 背中越しに相手を抱え上げ、ジャンプして両膝を突く形で着地しながら 相手の頭をマットに突き刺す技。

 

今でこそ同系の技は多くの団体で、色々な選手が使用しますが、この当時はまだまだ珍しい部類の技。 余り好きな技では有りませんが、名称に「アックス」を入れているのは大森らしくて良いですね。

アックスボンバーのイメージを持つ大森には、ピッタリなネーミングだと思います。

 

あの見た目からして威力があるのは一目瞭然で、全日本参戦時には小島聡とのシングルもこれで制しています。 ただ小島との対決となるとラリアットvsアックスボンバーの見方が強かったので、どうせ勝つのならアックスボンバーでキッチリと勝って欲しかったんですけどね。

 

初期の頃は小島や田中将斗との同世代対決を制したりと、何かとフィニッシュにする事も多く、このままアックスボンバーと並ぶ大森の2大必殺技となるかと思っていたのですが、いつしか単なる繋ぎ技になってしまいました。

明らかに威力がありそうな技なのに、必殺技とする事は無かった理由は恐らく 大森のアックスボンバーに対する思い入れが、強かったからなのでしょうね。

 

しかしながら応用の利く技でもあり、パワーボムを狙われた際には、その体勢から逆に担ぎあげて アックスギロチンドライバーで切り返すと言う場面も良く見られ 非常に使い勝手の良い技と言えます。

全然違う技なのに、掛け手と受け手の位置が逆とは言え、技を仕掛ける体勢がパワーボムと同じと言うのが、面白いですね。

 

そしてアックスギロチンドライバーのハイライトシーンと言えば、何と言っても男色ディーノとの異色対決で決まりでしょう。

ディーノのフィニッシュは、相手の顔を自分のパンツに突っ込んだ状態で、そのまま持ち上げパイルドライバーを決めてしまうと言う男色ドライバー。

肉体的に・・・と言うよりも、むしろ精神的にかなりキッツイ ある意味、恐怖の必殺技です。

そのディーノとの対戦で大森は、顔面をディーノのパンツに突っ込まれ、絶体絶命!!と言う場面で、何と全く怯む事無く、パンツに頭を突っ込まれたままディーノを持ち上げてしまい、まるでディーノのパンツを被っているかの様な状態で、アックス・ギロチン・ドライバーで切り替えしてしまいました。

何ともマヌケな・・・いや壮絶な光景でした。

それにしても これには感心しました(笑)。

 

大森ってこんな面白い事が出来るキャラだったっけ??

 

「 大森が他の必殺技を使用したとしても定着しないだろうな 」と思っていた事は冒頭でも書きましたが、アックスギロチンを使い始めた頃は「新必殺技になるのか!?」と思った時期も確かに有りましたが、結果的には大森の必殺技としては、やはり定着しませんでした。

単なる繋ぎ技とするには、余りにも惜しい強烈な技ですが、男色ドライバー返しのアックスギロチンドライバーを観られただけでも この技を充分過ぎる価値があったと思います。