藤波辰爾の首極めエビ固め

丸め込み技の名手である藤波辰爾が得意としていた技と言えば、グランドコブラツイスト、首固め、逆さ押さえ込み、回転足折り固め等が挙げられると思います。

しかし ほんの一時期だけ使用していた首極めエビ固めと言う技を知っているでしょうか?

 

サイドから相手の首を脇で抱え込んで、前方に回転した勢いで、相手をエビ固めの体勢にした所で、足も押さえ込み一瞬の隙をついてフォールを奪う技。

 

藤波が、1993年に得意にしていた技で、新日本プロレスvsWARの対抗戦で行われたイリミネーションマッチでは、団体の威信をかけた闘いが続く中 何とWARの大将である天龍源一郎をこの技で、クルリと丸め込み、WAR側の一番最初の退場者にしてしまいました。

層の厚い新日本を相手に、天龍を欠いたWARには到底勝ち目はなく、イリミネーションマッチは、新日本の三人残りと言う圧勝に終わりました。

藤波自身も途中で敗退した物の この対抗戦に勝利した立役者である事は、間違いありません。

 

丸め込まれた天龍も何が起こったのか分からないと言った状況で、完全に藤波に一本取られた形となってしまいました。

パワーやコンディションでは、天龍が遥かに上回っていたにも関わらず、まんまとフォール勝ちをスコア出来る所が、プロレスの奥深い所ですね。

 

同年のG1クライマックスでは、脇固めに来た藤原喜明をこれまた見事に、首極めエビ固めで丸め込んでいる様に、この当時は藤波が得意としていた数ある丸め込み技の中でも首極めエビ固めは、グランドコブラツイストと並んで、最も勝率の高い丸め込み技でした。

この1993年には、この技で目立った活躍をしたのに、翌年からは使用している所すら見た事はありません。

もしかしたら知らないだけで、使用はしていたかも知れませんが、大舞台でのフィニッシュとなった事は恐らく無い筈です。

 

歴史から消し去るには勿体無い技なので、かつて飛龍継承を宣言していた棚橋弘至には、たまにでも良いので使って欲しかったんですが、流石に今から首極めエビ固めが復活する事は残念ながら無いでしょうね。