大谷晋二郎の膝十字固め

大谷晋二郎の得意技と言えば誰もが思い浮かべるのは、ドラゴンスープレックスやスパイラルボムでしょう。

各種スワンダイブ攻撃など 持ち前の身体能力を活かした技も多く使いこなす大谷ですが、あれでいて多くの関節技も使いこなします。

 

大谷の関節技は、プロレスラーとして産声をあげた新日本道場で培った物ですが、ヤングライオン時代は関節技でのフィニッシュも結構多く その中でも膝十字固めを好んで使っていた様に思います。

それはJr.ヘビー級戦士として頭角を現してきた1994年頃になっても変わらず、Jr.戦士らしい派手な大技を使いながらも フィニッシュになる事は、それ程多くは無かったとは言え 新日本道場で学んだ膝十字固めも大事に使って来ました。

 

フィニッシュになった事は多くは無かったと言っても

みちのくプロレスのTAKAみちのく

武輝道場の望月成晃

と同世代の他団体の若手選手と試合する時には、膝十字固めをフィニッシュにする傾向もありました。

これは新日本に人一倍誇りを持っていた大谷の「派手な技だけじゃないぞ。技術が違う」と言う新日道場で鍛え上げられた大谷のプライドだったのだと思います。

 

今でこそTAKAも望月も幅広いファイトが出来るベテランレスラーですが、当時のTAKAはほぼ飛び技メインだったし、望月は蹴りだけでした。

加えて当時の大谷は、今よりもギラギラしていて他団体の選手には良い所を引き出しつつも、厳しい部分も確かにあったので、自分がやってきた事のプライドがかいまみえた瞬間だったのかも知れませんね。

 

そして大谷の膝十字固めで、ある意味印象に残ってるのが1995年

大谷晋二郎は、かねてから「アメリカマットで、膝十字固めを使ってみたい」と言う
願望があったらしく念願かなってWCWの短期サーキットの際に、エディ・ゲレロに対して膝十字固めを仕掛けた事がありました。

しかし普段は日本人よりもリアクションの大きい筈のアメリカ人が、何一つ反応せず
会場の空気は……

 

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会場が静まり返り、それどころか
「あいつは何をやっているんだ?」と言うリアクションまで・・・

日本では、当時からフィニッシュになる事も有り、広く認知されていた膝十字固めですが、どうやらアメリカでは、全く知られていなかったらしいのです。


単に足にしがみついているだけに、見えたらしくプロレス文化の違いとは言え、この時ばかりは、大谷が可愛そうでした。

 

試合には勝ったから良い物の、いつも熱い試合で名勝負製造機と言われた、あの大谷が会場をしらけさせたと言う何とも珍しい瞬間でした。