田中稔のBDF

様々な団体を渡り歩き 様々なレスラーと闘う事で技術を吸収して Jr.ヘビー級としてはトップクラスの実績を持つ 業界でも随一のテクニシャンとして知られる田中稔。

田中に使いこなす技は多種多様で、これまでも色々な必殺技がありましたが、その中でも特に疑問に思う必殺技がBDF。

いわゆるダイビングフットスタンプです。

 

2014年頃からの田中は、これをフィニッシュホールドの一つとして扱う事が多くなりましたが、これは疑問と言うか正直 大反対ですね。

上記でもあげた様に、田中は業界でも随一のテクニシャン

 

切れ味鋭いミノルスペシャル等の関節技

 

華麗なフャイヤーボールスプラッシュ等の飛び技

 

HEATクラッチやカリファルニア巻き等の丸め込み技

 

フルネルソンバースト等のスープレックス

 

垣原から受け継いだトルネードカッキーカッター

  
パッと思いつくだけでもこれだけ豊富な技を持っているのに、なぜ今更この安直な技をフィニッシュに多用し出したのか?

田中程のテクニシャンが、誰でも出来る技を敢えてBDFと名前を変えてまで使っている意味が、イマイチ理解できませんでした。

 

田中の当時所属していたW-1の象徴である武藤敬司は、何も言わなかったのかな?


武藤自身も最も嫌いな技としてフットスタンプを挙げた事があるので、田中のこの技のチョイスに、一言あっても良さそうな物ですが・・・まあ田中は、武藤の弟子と言う訳では無いし有る程度のキャリアを積んだベテラン選手なので、敢えて口出しとかはしなかったんでしょうか。

 

ただ田中のBDFは、相手をコーナー付近に置いて真下に飛ぶのではなく 相手をコーナーから出来るだけ遠くに置き 飛距離を大事にしています。
誰でも出来るフットスタンプだからこそ、誰にも出来ないフットスタンプを意識しているのかも知れません。

それでも田中のフットスタンプには、納得出来なかったのですが、実は田中のフットスタンプにはある想いが込められていました。

 

田中が新日本プロレス所属だった頃、プリンス・デヴィットとは2度に渡りIWGPJr.タッグ王座に輝いた事もある盟友とも呼ぶに相応しい間柄でした。

田中自身は2009年に新日本を退団してデヴィットとは、袂を別つ形になっていましたが、2014年にはデヴィットもWWEに移籍する為に新日本を退団。

 

それに際してヴィットは日本を離れる前に、かつての盟友の稔に電話を入れたそうです。

その会話の中で田中は「技をひとつパクらせて」と頼み、承諾を得た事で使い始めたのがダイビングフットスタンプ。

BDFと言う訳です。

 

お前の分まで、俺は日本で頑張ると言う意味合いでしょうか

向こうでも頑張れよ!と言うエールでしょうか

それとも デヴィットの事を忘れない為でしょうか

 

何にせよ BDFには、かつての盟友だったデヴィットへの想いが込められている技では有ります。 そう言うのを聞くと田中のフットスタンプ否定派だったにも関わらず「頑張って使い続けてね!」となってしまいます(笑)。

 

生き様を見せるのがプロレスとは言いますが、かつての友への想いを乗せたフットスタンプを使い続ける事も また田中の生き様と言えますね。