馳浩の裏投げ

馳浩の試合で欠かせない技は、フィニッシュのノーザンライトスープレックスなのは言うまでもありませんが、そこに至るまでの必殺フルコースに組み込まれている裏投げも忘れてはいけません。

裏投げは元々 飯塚高史と供に旧ソ連にサンボ特訓に行った際に会得して来た技。

 

それまでプロレス界には無い技だったので、新鮮で良かったのですが一緒にサンボ特訓に行った飯塚も当然 裏投げを使い出したので、いきなり技がカブッてしまう事態になってしまいました。

最も飯塚の裏投げに関しては、馳に比べると持ち上げてからの捻りが、イマイチだったので「あれじゃあ裏投げじゃなく裏返しだよ」と闘魂Vで、馳が皮肉を言っていたのを覚えています。

ここいら辺には「例え同じ技でも俺のは一味違うよ」と言う馳のプライドが、感じられますね。

 

ラリアットを避けて裏投げにいったりと、カウンターでの返し技としても良く使われおり、劣勢の中の反撃の起点となる技でした。

更に馳は、相手の技量によって落とす角度を自在に変えていて、全日本プロレス移籍後の受けの天才 三沢光晴との対戦では「最上級の裏投げ」と称される程の 脳天から真っ逆さまに落とす かなりエグイ角度の裏投げで落としていました。

相手の技を綺麗に受けきる三沢ならではの受け方とも言えます。

 

対照的なのは武藤敬司で、武藤も受身には定評がありますが「 倒れたら起き上がるのが面倒くせーんだもん!」と(これは流石に冗談?)普段は滅多に出さない、払い腰まで出して裏投げを徹底ディフェンスしていた事があります。(受ける場面ではちゃんと受けてたけどね )

攻めの新日本の武藤と

受けの全日本の三沢

ここいらは、育った環境のカラーがハッキリと出ていて、対極的で面白い部分でした。

 

そして馳の裏投げが、一番脚光を浴びたのは1993年のG1クライマックスでは無いでしょうか?

その年のG1は、トーナメント形式で馳の一回戦の相手は、これまで一度も勝った事の無い橋本真也。

橋本の圧倒的な破壊力を前に、馳は防戦一方になり橋本がフィニッシュの飛びつきDDTを仕掛けようとした所を狙い済ました裏投げで、強引に押さえ込み橋本に勝利しています。

 

この時の裏投げは、いつもの様に持ち上げながら捻りを加えて投げると言うよりは、相手の勢いを殺さずに両者供に身体が浮き上がり、同体でマットに叩きつける気迫の裏投げでした。

 

この馳の裏投げでの勝利をキッカケに、一時的に新日本では裏投げがプチ流行して、何と藤波辰爾や獣神サンダー·ライガーまでもが、フィニッシュに使用した事があります。

まぁ すぐに使わなくなったんですが、それぞれ得意な技や苦手な技ある様に、似合う技と似合わない技と言う物も必ずあります。

そういう意味では、馳浩は誰よりも裏投げが得意で、誰よりも裏投げが似合っていたと思われます。