棚橋弘至のドラゴンロケット

新日本プロレスのACEと呼ばれ 輝かしい実績と絶大な人気を誇る棚橋弘至ですが、これまでのキャリアの中で、全てが順風万端に来た訳ではありません。

 

怪我に悩まされた事もあれば ブーイングを浴びまくった日々に、あの殺傷事件など・・・

数え上げればキリが無い程に、苦難に直面してきた棚橋ですが、勿論リング上での技の大きな失敗もありました。

その代表例が、ドラゴンロケットでしょうか

少年時代から藤波辰爾を尊敬し 師と仰いでいる棚橋は、ドラゴン殺法を継承し必然的にドラゴンロケットも継承しました。

 

しかしドラゴンロケット・・・いわゆるトペ・スイシーダもなかなか難しい技で、棚橋も決して毎回成功していた訳ではありません。

人に向き不向きが有るのは、しょうがない事ですが棚橋はお世辞にもトペは得意でなかったと思います。

まぁ 余り綺麗では無いフォームを見ていたら それは一目瞭然なのですが、少なくともドラゴン殺法継承者の棚橋には、トペを使用する必然性はありました。

 

しかし棚橋にはとっては、何とも屈辱的な事件が起こってしまいます。

 

2005年7月のNOAH東京ドーム大会

力皇猛の持つGHCヘビー級に挑戦する敵地での大一番

 

ここは何としても新日本に、NOAHの至宝を持って帰りたかった所ですが、アウェイでの最大のビックマッチと言う気負いが、もしかしたら棚橋にあったのかも知れません。

試合中盤で場外の力皇めがけて放ったドラゴンロケットは、飛び過ぎたのか力皇の頭上をかすめて 棚橋は、一人で本部席に突っ込んでしまいます。

正に入水自殺!!(汗)

危ない場面でしたが、ここで棚橋には焦りが生じてしまったのか、挽回しようドラゴンロケットに再トライしますが、今度はロープに足が引っ掛かってしまい力皇に届かず。

これは痛恨のミス!

 

そして三度目の正直とばかりに、もう一度ドラゴンロケットを狙いますが、何とまたもや飛びすぎ。

まさかまさかのドラゴンロケット三連続のミス!!!

 

余りにも手痛いミスでしたが、試合の方も力皇に完全叩き潰され ボロ負けと言っても良い程の棚橋史上最悪の負け方となってしまいました。

敵地でのタイトル戦や慣れないリングなど 悪条件は幾つか有りましたが、棚橋にとっては最悪な試合だったでしょう。

(ドラゴンロケット連続ミスのイメージ悪すぎました)

 

しかし棚橋は、諦めない男

数ヵ月後に、中邑真輔と供にメキシコ遠征に出向いた際は、タッグマッチで二人同時に場外に飛ぶ場面があったのですが、中邑はトルニージョを成功させ相手にヒットさせたのに対して、同時にドラゴンロケットを敢行した棚橋は、ロープに足を引っ掻けてしまい前のめりに場外転落。

相手に、かすりすらもしませんでした。

 

ついに棚橋の心は、折れてしまいました。

確かに、この失敗は棚橋に限らず 希に見る失敗ですが、立て続けにミスが続いたせいか、今ではドラゴンロケットは、完全に封印状態となってしまいました。

 

この試合を見ていたウルティモ・ドラゴンからは「踏切がロープに近すぎ。あれじゃ何回やっても失敗しますよ」と言われてしまう始末。

 

まあ何度も言いますが、向き不向きは誰にでもあるし 棚橋にこの技は合わなかったと言う事なんでしょう。

無理に使う必要は無いので、これはこれで良かったと思います。

 

記憶に残る技は幾つもありますが、棚橋弘至のドラゴンロケットは、悪い意味で記憶に残ってしまった技でした。