垣原賢人の膝十字固め

垣原賢人の必殺技と言えばカッキーカッターですが、それは全日本プロレスや新日本プロレスに入団してからの話で、まだ彼がUWFインターに在籍していた頃の必殺技と言えば、やはり膝十字固めでしょう。

94~95年頃、年齢も若くキャリアも浅かった当時の垣原は、まだまだ高田延彦や山崎一夫の影に隠れた中堅ポジションの選手。

その格付けの中で起こった大番狂わせが、Uインターのエース外国人 ゲーリー・オブライトからの初勝利です。

それまでオブライトは、殺人級のジャーマンスープレックスやドラゴンスープレックスで、幾多ものKOの山を築き上げ Uインターのトップの高田や山崎をも撃破して その勢いは凄まじく正しくオブライトは、ベイダーと並ぶUインター最強外国人でした。

 

垣原vsオブライトのシングルバウトでは、垣原が善戦するもやはりオブライトは強く 仕上げとばかりに、ジャーマンを狙った所で垣原が前方回転してオブライトの片足を取ると そのまま膝十字固めに鮮やかに切り返して まさかのギブアップ勝利!

よもやの大金星ですが、この時から垣原のUインター内での格はグングン上がっていったと思います。

No.2の山崎ですらオブライトには、勝利した事が無いのに垣原が、完全な一本勝ちですからね。

 

95年10.9での新日本との対抗戦時は、山崎は退団済み 田村は不参加 安生がブレイクするのは10.9以降なので、先輩の離脱で繰り上げも有ったとはいえ垣原は、いつの間にか高田に次ぐNo.2のポジションになっており、佐々木健介と闘う事になるのですが、ここでも先のオブライト戦と同様な展開に。

 

戦前は業界内の格からいって健介が圧倒的有利かと思われており、実際の試合でも垣原がマシンガンの様な掌底を連打するも 健介の丸太棒の様なラリアット一発で吹っ飛ばされ 何度も健介のパワーに投げ飛ばされハネ返され もはや健介もトドメを刺すばかりの状態。

そして試合終盤にジャーマンを狙った健介に対して 垣原は足を取って前方回転して膝十字固めを極めます!

あのオブライトを破った時と全く同じパターンです!!

 

もがく健介!絞めあげる垣原!!

そして遂に健介がギブアップ!!

この日本中のプロレスファンが注目していた大舞台で、垣原は最高級の大番狂わせを演出して見せました!

 

この一戦で10.9以降欠場を続けた高田に代わり 垣原はUインターを支える立場になります。

注目の大舞台で・・・全国区のテレビ放送で流された勝利は、それ程大きな物だったのです。 いや・・・この一戦でというよりは、オブライト戦から続く垣原の快進撃が周囲に、垣原の実力を認めさせたと言っても良いと思います。

同時に垣原の膝十字固めは、一度極まれば絶対に逃げられない必殺技と言う認識も広まったんじゃないでしょうか。

 

その後Uインターやキングダムの崩壊後は、全日本に戦場を移した物の何故か膝十字固めで勝利を奪える事は殆ど無くなってしまい、代わりにカッキカッターを習得して膝十字固めは、単なる繋ぎ技に降格してしまいます。

当時の全日本では、フェイスロックやストレッチプラムの様な絞め技ならまだしも 膝十字固めの様な関節技フィニッシュは、余り受け入れられなかったと言う側面があったのかも知れません。

 

垣原のカラーとして膝十字固めは、全然アリだったと思うんですけどね。